2.反撃の準備
シャルナとの打ち合わせが終わって自室へ引き上げた後、孔明は矢継ぎ早に各部署に指示を出していた。作戦自体はシャルナから話を聞いた段階で、既にケース別に20案ぐらいはできていた。
まず、シャルナの脳内データの取得。タイミング良く昼寝をしてくれたので問題なく収集できた。外観データは入浴時に収集済みである。
つぎに、地図作成のために発進させた観測機の収集済みデータからアストラ王国周辺の部分だけを先行して作成、シャルナの脳内データと照合して地名や施設名を追加した。
できた地図に基づいて、監視衛星を射出。監視衛星の在庫は低分解能のものしかないが、とのあえずの処置とした。
それから、戦闘用アンドロイドを2体と情報収集用アンドロイド1体の製造。
情報収集用を先行して製造することにした。
シャルナの脳内データから、王都や王城内では猫という生き物がたくさんいて、好き勝手に振る舞っているようなので猫型に決定した。目立たないよう毛柄は黒にした。
(あとは明日、シャルナ様と相談してからで良いだろう)
翌日。
艦内視察を終えたシャルナに来てもらって、進捗状況の説明を行った。
「先ほど、研究開発区画で情報収集用アンドロイドを見ていただきました。」
ユキが言う。
「あんなに可愛い猫になら何でも話してしまいそうです。思わず『ジジ』と名付けてしまいました。それにしても猫とは考えましたねー 」
シャルナが嬉しそうに言う。
「はい。どこにいても誰も咎めない、気にしない・・・という点で猫型にしました。見た目はあんなですが、耳と眼はたしかですので有用な情報が得られると思います。」
続けて孔明が言う。
「これより王都に先発させて情報収集に当たらせます。1、2日あればだいたいの調べが付くと思います。」
「一人で行って大丈夫なんですか。」
シャルナが心配そうに尋ねた。
「本気で逃げるアレは戦闘アンドロイドでも止められません。全く問題ありません。」
孔明は自信たっぷりにそう告げて、さらに言葉を続ける。
「あと、戦闘用ウンドロイドはシャルナ様のコピーと、もう1体、シャルナ様の脳内データにあった12~13歳ぐらいの少女の容姿のものを準備しています。」
「先ほど製作中のものを見ました。」
と、シャルナが言って、
(って、あれ、前世の私の中学生ぐらいの頃の姿じゃない...)
内心ではそう呟いていた。
「ご覧になりましたか。行動を共にすることを想定して歳格好の近いものにしたのです。あと、簡易型の戦闘ロボットを何体か付けますが、この辺は今後の作戦如何で考えたいと思います。」
「わかりました。今はジジの情報待ちということですね。」
「はい。それと、現在、この惑星の正確な地図を作成中ですが、アストラ王国とその周辺国だけの部分を先に作りました。」
孔明がそう言うと、前方の壁に地図が映し出された。
「うわあーっ」
シャルナが歓声を上げた。
「現在、この上空に監視衛星を配置しています。在庫品なので低分解能ですが、低軌道で展開してありますので実用上差し支えないと思います。」
先ほどまで地図が表示されていた壁に、王都の衛星画像が映し出され、所々でズームインして拡大画像に切り替わった。
「特に軍が展開しているような兆候はないようですね。ジジと一緒に偵察ドローンも降下させますので、今後はもう少し詳細が判ると思います。」
「また情報が入り次第お知らせいたします。それまではどうかゆっくりとなさって下さい。」
「よろしくお願いいたします。」
この日の打ち合わせはこれで終わった。
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