第35話

「·············なんだ、その身体は。」




 私の裸を見てすぐに言葉を発したのは、冷静な彼だった。



「·····そんなリアリティに欠ける身体は初めて見た。」


「り、りありてぃー?」



 さっきまで嫌そうに私を見ていた彼だったけれど、今は驚いた顔をしている。



 私も恥ずかしいはずなのに、彼は下心も見せず本気で驚いているようだから、なにか普通とは違うのかとタオルを拾えずにいた。



「普通、それだけ胸がでかければ重力で垂れるし、乳首の色だって褐色が平均的。あっても薄すぎるか黒すぎるか。そんなに発色のいいピンクは初めて見た。」


「········」


「·····私はあくまで人間の身体を理論上分析した上で言っているだけだ。断じて不特定多数の女の身体に興味があるわけじゃない。」



 とか言いつつも、あごに手を置き、私の胸をまじまじと見る冷静な彼。



 そして、他のメンバーが呆気にとられている。



「···女嫌いなダニエルが女の裸みてべらべらしゃべっとる···」



 帷さんの下から起き上がってきた関西弁の彼。



 そしてなぜか帷さんは、関西弁の彼の首に手を回し、抱っこされる状態になった。お猿の子供がお母さん猿に抱っこされるように。



 でも帷さんを抱っこしたままの関西弁の彼が、私を見て目を丸くする。




「なっ·····うそやろ····あんた、ないやないか····!」




 その関西弁の彼の言葉で、ストーンと帷さんが床に落ちた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る