第11話
「あんた、こんな夜更けにセーラー服のまま何してんの?」
私の目の前に迫ったその人物は、マッシュルームのような個性的な髪型をした男性だった。
大きめのストライプのシャツに、だぼついたズボン。そしてゴーグル付の可愛いヘルメットを手に持って。これが今時といっていいのかは分からない。
無表情でも菊地さんとは違って鋭いそれではなく、表情を作るのがいちいちめんどくさいという様に、気だるい雰囲気のある若そうな男性だ。
その髪型や服装が、アンニュイそうな彼には似合っている気がした。
「聞いてんの?」
「あっ、と…」
「まあいいや。とにかくその後ろの女、こっちに渡せよ。」
「ヒッ」とまた恐怖の声色になった彼女が、私の背中に密着しながらふるふると頭を横に振った。
「…あの、彼女は、なぜあなたたちに追われているのですか?」
「通りすがりの他人に言う必要ある?」
「ええと、はい。あると思います。」
「ほーん、···肝の据わった奴。」
もう一人、同じゴーグル付のヘルメットを被った男性も私に近付いて来る。
…私は、何を言っているのだろう。
こんな囲まれている状況で何をされるのかも分からないというのに。これこそがテンションの高くなった外国人観光客、いや異世界観光客の気分なのかもしれない。
もう一人の男性もヘルメットを取ると、今目の前にいる男性と同じような姿の顔が現われた。
髪型や服装だけじゃない。どこか気だるい雰囲気も同じ。…双子、なのだろうか?
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