第7話

でもプレイヤーである彼は、女の子たちから絶大な人気を誇っていた。


 彼はきっと、私を友達としてしか接してくれたことはなかったのだろう。同じ周回ルートを繰り返すうちに、私の心も彼に奪われていった。



 しかし周りの生徒たちは、不穏な動きを見せるようになっていく。



 ゲームの世界は、決められた範囲での生活しか許されない。


 娯楽も、旅行も、多少のイベントはあっても、それも毎度同じ時期、同じ内容であれば誰しも飽きがきてしまうというもの。



 私のいた学園内は、ある出来事を境に次第におかしくなっていったのだ。


 どんなにここより綺麗な世界であろうとも――――


――――――――



「ッ菊地!!」



 後ろの女性の声でハッとした。



 彼女が"菊地"とよぶその人物が、バイクから降りてきたのだ。



「……」


「ッ、」


「……」



 菊地さんが、ゆっくりと私たちに近付いて来る。


 そしてこの暗闇の中、間近で見るその姿は。


 どうやら衣装でも何でもなく、本物の、鳥···――――

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