第6話
光で顔までは見えないけれど、ゴーグル付の赤いヘルメットを被った人物が2人。
でもそれよりも2度見、3度見をしてしまうバイクがもう1台。
そこには。
大きなペリカンのような鳥が乗っていたのだ。
いや、そんな馬鹿な話があるとは到底思えない。きっと鳥の格好をした人間なのだろう。
くちばしがやたら大きく、ヘルメットを被れているのかいないのか、頭にちょこんと乗せているような形だ。
大きな身体を支えているのは細くてやたらと長い脚。それこそ仮面ライダーが乗っているような目ざましいバイクを跨いで、ちゃんと地に足をつけ支えている。
今日はハロウィンなのだろうか?
私のいた世界でもハロウィンのイベントはあった。学園の文化祭の中で行われるハロウィンイベント。
皆が動物の衣装を着る中、なぜか私だけ大きく胸の開いた魔女の格好をしていた。
衣装は自分で選べるものではない。元からそういう設定なのだ。
なんせ私はゲームの世界にいたキャラクターなのだから。
そう、私は『あの柿の木の下で。』と呼ばれるゲームの中のキャラクター。
勝手に制作者により設定されたあの衣装。際どいスリットの入った肌を露出するものであったせいか、男の子たちからは軽い目で見られ、女の子たちからは男子を誘惑しているのではと、嫌味を言われる対象になっていた。
唯一普通に話しかけてくれていた主人公の男の子。私が「軽い女」と噂されているにも関わらず、友達として真っ直ぐに接してくれていた彼。
その主人公である彼こそが『あの柿』のプレイヤーだ。
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