第48話
「亜怜音の書物が手に入ると思ったら、つい口が滑って"禁書"などと言ってしまいました!」
「でも智彗様、禁書があるなんて言ったら、今度また他国から、禁書と引き換えに交渉を持ちかけられることがあるんじゃない?金縁の禁書のことを知ってる人だったらどうするの?」
「瀬里、禁書というのは本当に負の遺産なんですよ。"身体の一部"といっても、どこからどこまでを一部というかもわかりませんし。」
まあ確かに。頭がなくなる、胴がなくなる、なんてことになったら死んでしまうかもしれない。しかも皇族しか使えないのだから、余計に嫌がられるだろう。
あれ?ということは、その禁書を使った智彗様ってある意味相当凄いんじゃない?いくら担保といっても、返ってくる保証があるわけじゃないんだし。
「瑞凪!亜怜音ですよ?!ついに亜怜音の書が手に入るんです!!」
なんともまあ嬉しそうな顔だこと。さっきの話合いの時とは大違いだ。
それよりも私は今無性に禁書の整理がしたい。
後日、皇帝陛下である智彗様は淇帒国に、正式に友好国として提携する文書を送った。
こちらの望むものが全て手に入るのだから、復讐は大成功だ。
ただ正直、私は茂倫さんは苦手だからもう会いたくない。
どうせ元の世界に帰るんだからいいか、と他人事に思う私の心は、あと少しで満たされようとしていたのだった。
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