第47話
禁書なんだからもっと大事に扱おうよ!!さっき自分でも大事って言ってたじゃん!!
智彗様のその山の中から、2冊の禁書を手に取った。でも1冊は派遣術の書のように金縁なのに対し、もう1冊は銀縁がついている。
「これはどちらも武器生成術の書ですが、金縁の方は兵器の書、そして銀縁の方は鉄鋼や金属から生成される刀剣の書です。」
瑞凪様が、「···ああ、そうか」と理解できたように呟いた。でも私には一切理解できない。
「この兵器の書は禁書に指定されています。原料が用意できないもの、この世界にないものを、人体を犠牲にして作り出すのが金縁。
ですが刀剣など元々原料のあるものは、原料を用意して術で作り出すことができるので、人体は犠牲にはならないのです。それがこの銀縁の書です。」
「···え??意味がわからないんだけど?」
「つまり、淇帒国にはこっちの銀縁の書を貸せばいいんですよ。」
「で、でも禁書に指定されてるんでしょ?それを他国に貸しちゃっても大丈夫なの?」
「いえ、銀縁の方は禁書ではありません。」
「はあ?」と未だ理解できない私は、智彗様の肩を抑えて言った。
「だって茂倫さんには禁書だって言ってたじゃん!」
「それは、私が勝手にこの国で"禁書"に指定しただけで、正式には、銀縁の術書は禁書ではないんですよ。」
「えええええ!!!!」
智彗様は、心理学の本に書いてあった通り、はったりを利かせたたらしい。
茂倫さんは最初、"この幌天安には"武器の生成術"を取り扱う書物がある"と言っただけで"禁書"という言葉は一切出していなかった。
そこで智彗様は、もしかしたら茂倫さんが、禁書という書物があることを知らないのかもしれないとカマをかけたのだ。
あえて"禁書"だの、この国にとって"大事"だの"重要"だの大きいことを言えば、茂倫さんの欲求をさらに掻き立てられるのではないかと考えたらしい。
確かに茂倫さんは、智彗様が"あれはとても大事なものですから"と一度断った時、食いつきがよくなった。
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