第37話
「うちにある禁書は、軍神と謳われてきたご先祖様たちが戦の度に集めてきたものなんです。だから捨てるに捨てられなくて。」
「···まさに、負の遺産。でも他国に利用されないためにも、この宮廷で厳重に保管しておく必要がある。」
「そうですね、禁書がもし勝手に持ち出されたら危険ですし、禁書は特別に鍵付きの書庫を造るか、他の隠し部屋を作って保管する必要がありますね。」
とりあえず禁書の保管場所は保留となったまま、読書スペースの開設が進められた。
書棚は縦置きのものだけでなく、"今週の注目書物"など、目玉になるような本を利用者にアピールできるよう、横置きの棚もいくつか兵士さんたちに作ってもらった。
「書物を横に並べるという発想はありませんでした!」と智彗様も感心してくれた。
ブックエンドも、和装本ばかりが並ぶ書棚、5冊置きくらいに使えば、綺麗に縦に配架することができた。
ただやっぱり和装本に背表紙がないのは、本を探すのに手間取りそうだ。
瑞凪様には、「それなら和紙に題名を書き、それを背表紙に貼ればいいのでは?」と言われ、それを聞いていた侍女たちがその役を買って出てくれた。
とはいえ、長い日数、いや年月がかかるのは間違いない。
"知の聖地"が徐々に機能し始め、農村部や山間部から王都に移り住む人々が増えてきた頃、新たな来訪者がやってくることとなる。
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