7.復讐は心理戦で
第38話
ある日、書庫の整理中に、瑞凪様が別大陸の書が置かれている棚で、あれこれと本を漁っていた。何かを探しているようだ。
「瑞凪様、どうしたんですか?何か探し物??」
私が尋ねれば、持っていた本を閉じ、「···いや、」と私に顔を向ける瑞凪様。
「実は、
「え?な、なに?アレーネ??」
「···東の大陸の名だ。」
この世界は4つの大陸、北の
書庫には亜怜音以外、3大陸の本はあり、言語辞典や神話、歴史、文化、地図などが沢山ある。亜怜音大陸のものだけは1冊もないため、智彗様も瑞凪様も喉から手が出るほど欲しいのだそう。
「そういえば景郷国って海に面してる国じゃなかったっけ?貿易してそうだし、俊恵さんに頼んでみたら?」
「···景郷国は、北の鴻単罵度とは貿易をしているが、亜怜音とはしていない。」
さすが、もうすでに調査済みだったか。
「それにしても、辞典で勉強して違う文字が読めるようになるなんて凄すぎますよね!智彗様も瑞凪様も相当頭いいんじゃないですか?」
「···単に文字が好きなだけだ。あなただって、書物の整理が好きなだけで、"知の聖地"をここまで作り上げた。」
照れを隠すため、ポリポリと頭を掻きながら書庫を見渡せば、床に散らばり、積まれていただけの本が、今では綺麗に棚に並べられている。
壁面にしかなかった棚を部屋の真ん中に並べ、棚と棚の間に通路を作り、書庫の入り口には、受付カウンターを設置した。カウンターには交代制で貸借の受付をする。
そして書庫に入ってすぐ注目の本が目につくよう、入り口の真正面に横置きの棚を置いた。
まだまだ利用者は少ないが、仮想物語の本を読みたいと子供が数人で来たこともあった。そのうち子供用の読書スペースを作る必要もあるかもしれないと思い、書庫を離宮にする際、もう一つ部屋を残すことを智彗様に提案した。
再び侍女さんと書庫の整理に取り掛かろうとした時だった。
「瀬里、瑞凪も、···今少しお時間いいですか?」
神妙な面持ちで書庫に入ってきた智彗様に呼ばれるも、その表情すら可愛い。
3人で智彗様の仕事部屋である執務室に入ると、手前の円卓に3人で腰かけた。奥の仕事机には書類が積まれており、まだ仕事中にも関わらず呼び出したという事は、また何かあったのだろう。
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