第20話
この世界のお金は、金貨、銀貨、銅貨(小金貨や小銅貨という小銭もある)とあり、幌天安の平民の平均月収が金貨1枚に値する。
しかし3人の話合いで景郷国について予習したところ、平民の平均月収はなんと金貨2枚、幌天安の倍だ。
「月に金貨200枚でいかがでしょう?」
「なっ!」
「山一つを丸々貸すと言ってるんです。それにこちらに危険が伴う以上、それくらい払ってもらって当然かと。」
「農地にすらなっていない山地にそんな対価が支払われるなど!」
「でもそちらの使用目的は身を隠す、兵の野営、武器の保管なんでしょう?農地にする必要がどこに?」
「っく。」
志成さんが初めてうろたえ、そこに畳かけるように瑞凪様がオプションを紹介する。
「···北の山地には、美味なきのこや山菜も沢山取れるし、沸き水や泉もある。兵力の温存にもなるでしょう。」
後から2人に、何で交渉を受けたんだと咎められたらどうしようと思っていたから、瑞凪様がここでフォローしてくれて少し安心した。
でも智彗様は俯いたままで、やっぱり交渉には反対なのかもしれない···。
「で?賃料についてはわかったけど、その"修繕"てのは何でなの瀬里?」
俊恵さんがニッコリと笑いながら私を見た。
「はい、見ての通り、この宮廷は老朽化が進んでまして···、ぜひ労力を貸してほしいんです。」
「···では我々が山の賃料を払うとして、その金貨で人を雇って修繕すればいいのでは?」
「でもうちは今高齢化が進んでまして、お宅の騎士さんの様な力のある男性にお願いしたいんです。それに兵を山に配備するなら、ちょうどその兵士さんに頼めますし。」
「はあ~」と大きく溜息をつく志成さん。それでも彼は引き下がらなくて。
「じゃあその分の賃料もこちらも貰いますけど??」
「ああ、それなら等価交換ということで金属はいりませんか?」
「は?」
「この宮廷は広すぎるので、もう少し縮小したいと思ってるんですが、」
「···は?」
さすがに瑞凪様が驚いて私を見る。
私が「でもこの宮廷広すぎない?迷子になるし。」と小声で言うと、「···まあ、確かに。」と瑞凪様は同意してくれたように返事をしてくれた。
「この宮廷の屋根には金属が使われてるんです。修繕ついでにその金属をお渡ししますよ?」
「·········」
だんまりしてしまった志成さんだったが、騎士の巧さんは、「武器の原料になりますな」と呟いた。
智彗様を見ると、一瞬私と目を合わせ、またすぐに俯いてしまった。
···勝手にツラツラ喋っちゃったこと、怒ってる??
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます