第14話
それから大学構内でも彼のことを"先生"として意識するようになって、別の部署に資料を届けに行くと見せかけて、彼を探しに行ったこともあった。
気付いたことと言えば、彼はやっぱり一目置かれる王子様のような存在だということ。
ただ思い描いていたイメージと違うのは、周りが簡単には近寄らない存在だということだ。
遠目に、綺麗なものでも愛でるように見ている女の子たち。
彼に近付くのは、構内にうろつく猫と女性職員たち。
同年代にはどうも見えないバリアを張っているようだった。
本人は意識していないだろうけれど、"こなれ感がすごい"と思っていたのは、大人への対応がこなれているだけなのかもしれない。
そうだ、彼は私の1万円という月謝につられて先生をしてくれているのだ。
やっぱり私をクリスマスイヴに誘ったのはお金目当て。お金じゃないにしても、何か買って欲しいとかおねだりするつもりなのだろう。
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