第20話

「誰アレ?」


「亘君。わたり于羽ゆわ君。」 

  

「なん?好きなの?」


「違う。アプローチかけられまくってるの。」


「イケメンじゃん。いんじゃない?」


「う〜ん…。」



そうやってじっと見つめてるってことは、乙菱だっていいって思ってるってことじゃない?いいじゃん、いっちゃいなヨ。



「あ、やば、」



乙菱の熱視線に気付いたのか、その黒髪の亘君が私たちの方を見て小さく手を振ってくる。



ついでにお隣の鹿助君もこっちを見る。    

        


「うっわぁ、手、振られちゃったよ〜」

「いいじゃん、振り返しときなよ。」   

「なけなしのピース。」

「ピースかよ。」



亘君の片手振りに、平和の象徴であるピースで返す乙菱。かわいいな、乙菱。なんだかんだで亘君のこと好きなんじゃない?



『うっわぁ、あずまさん、また亘君にちょっかいかけてる!』

『ほんっとあの子、油断も隙もないわ。』



後ろからそんなヒソヒソ声が聞こえて。私は軽く舌打ちをしてから、乙菱と一緒に亘君に向かってピースをした。

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