第6話

「なっ!てか、矛兎さん、彼氏いたの?彼氏いんのに佑星に手を出したっての?!」



真智美ちゃんがワナワナと肩まで震わせちゃって。あはは、そんなに佑星くんが好きなら首輪でもつけとけばいいのにね。



「実は、まだ最近付き合ったばっかなんだよね、俺ら。」


「え?」


「その、“佑星”?って男に百奈がちょっかいかけられてたから、焦って俺から告ったの。」


「……っな、ウソ、」


「ねー。百奈。」

 


うろたえる真智美ちゃんと、セコム達。私が言っても信じなかった癖に……。



この盾狼君という鶴の一声で、あっという間に、佑星くんから誘ってきた真実を信じ始めるなんて。



なんか、ちょっと悔しい。悔しいぞ盾狼君よ。女子の反感買う私に喧嘩売ってる? 



「でも、悪いのは俺もだよ?」



盾狼君が、今度は私の肩に手を回して。肩を擦りながら私に寄り添う。



「俺がさっさと告んなかったから、百奈が他の男に狙われたわけだし。」



ねー。と、ゆっくり瞬く長いまつ毛。まつ毛の影になる彼の瞳が程よくしなる。



いくら演技といえども、ちょっと触りすぎじゃない?

       

 

私が細目で彼に睨みを効かせれば、盾狼君が私の頭を自分の胸元に引き寄せた。

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