第2話

唇の前で手を合わせて謝れば、真智美ちゃんの片眉がぴくりと上がった。



そして真智美ちゃんのお友達が他に3名。



電車の窓辺に立つ私に話しかけてきたのは、なんとか真智美ちゃん。同じ大学3年生。確か人文学部だったはず。



「……あのさあ。佑星ゆうせい矛兎ほくとさんが腕組んでるのを見かけた友達がいるんだけど、佑星とはどんな関係?」


「佑星くん?バスケサークルの?」



唇に指を当てて、考えるふりをする私。



バスケサークルは、私がついこの間まで入っていたサークル。 

 


「うん。あんたと佑星とできてるって噂が蔓延してるんだけど、佑星って私の彼氏なんだよね〜」



ちょっぴり口調が強くなった真智美ちゃん。朝からオーラが黒い。



「う〜ん。佑星くんに、相談があるってカフェには誘われたけど、できてはないよ?だって、えっちしてないし、」


「……佑星から誘ったとでも言いたいわけ?」


「え?うん。まあそうだよね。」


「はあ?私と佑星はもう付き合って2年経つんだよ?佑星から誘うわけないじゃん!」



真智美ちゃんの手が拳を作っている。



女の子にしてはおっきな手だね。それで平手打ちされたら私、電車の外に飛ばされちゃうかも。

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