第40話

 デスサンドホエールとアイアンゴーレム、そしてブルーマーカーの戦いは全ての物資が消滅すると云う最悪な結果となり、漁夫の利を得ようとしたラトナ艦隊には苦い思い出と化す。


 アイアンゴーレムとデスサンドホエールが消えた広大な穴には熱帯雨林地方から水が流れ込む事となる。


 擬似生物や水資源が大量に獲れるとなればブルーマーカーもイエローマーカーもレッドマーカーも関係なく水場に集まって来た。


 そこに新たなるタクティカルアーマーが流れ込んでいると知らずに…。


 熱帯雨林特有のリバードルフィンのタクティカルアーマーが大量に流れて来た。


 そして更に大量のピラニアピラヤやアナコンダ、サメやアリゲーターなどのタクティカルアーマーが水辺で水資源を大量に得ていた各マーカー達の艦隊を凄まじい勢いで駆逐した。


 しかし、またデスワールドの意思に反したのか電気ウナギの放電攻撃を受けてタクティカルアーマーの大半が感電して陸に打ち上がる。


 放電攻撃で生き延びた艦隊や一歩出遅れた同盟艦隊は美味しい獲物を細心の注意を払いつつ解体して水中に音響爆雷を大量に落として電気ウナギも駆逐した。


「ラトナ姉様、私達は何も獲らないのですか?」

「うーん、強いて欲しい能力がないんだよね。例えばリバードルフィンとか要る?」


「でもよ〜、あの電気ウナギの放電攻撃って面白くね?」

「あー、アレね。面白くは有るんだけどね、ウォーターリアクターからのレールガンの荷電電力を放てば放電攻撃出来るのよ。だから、アレは要らないかなー」


[ラトナ、あの地域はなかなか面白くなっていますよ]

「なあに?リクロー」


[メタトロンが確認したところ、この艦隊に匹敵する艦隊が多数潰しあいを開始しました]

「あー、それは美味しいかもしんないわ」


[潰しあいは見学してアクティブステルスを起動します。どちらにせよ、ブルーとイエローマーカーは全滅すると思われます]

「うーん、問題はタイミングかー。大量のタクティカルアーマーと艦隊を得たレッドマーカーなんて洒落になってないわ。ホプキンス、ブラッドにジーニーは艦に戻って準備しといて。メタトロンは何を使う?」


ピピピ、ピー、ピー[メタトロンは電気ウナギの戦法をオススメすると言っています]

「あー、上空からの無差別雷撃って事ね。名前は何にしよっかなー」


「ラトナ〜、頼むからよ〜、ちょっとマトモな名前つけようぜ〜、エンジェルファックとかさ、キス・マーアスとか下品なのはやめとけって」

「うーん、じゃあ、ベタに天の裁きジャッジメントととか?」


「素敵ですわ、お姉様♡」

「ラト姉がマトモな名前つけてるー、なんかヤバい気がしてきたよー」


「ジーニー、後でオシオキね。リクロー、名称はジャッジメントで決定よ」

[畏まりました。メタトロンに指示、ジャッジメントを起動します]


ヴゥンヴゥンヴゥンヴゥン……パチパチ、パチパチパチパチ…シュン!ドドドドドオォーーン!


「ねえリクロー、電気ウナギを倒した艦隊の旗艦を感電させるエネルギーってどんだけ凄いのよ」

[敵艦隊がこちらのアクティブステルスをキャンセル、向かって来ます]


 裁きの雷と命名されたジャッジメントは敵母艦を丸焼きにして半径20キロ程にプラズマ放電を開始、ラトナ艦隊には問題は無かったものの、敵艦隊は電気ウナギの能力を駆使して周囲にアンチエレクトリコーティングを施していたにも関わらず、中心部の巨大な旗艦を含む多数の艦隊はジャッジメントの一撃でこんがり焼けて500メートルの高さから墜落した。


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