第38話

 砂漠地帯から飛ばされたデスサンドホエールは陸地に対応する為に大幅に進化してしまう。


6脚の太い脚と元は500メートルクラスだった身体は体重を支えるたびに巨大化して、今では数キロメートルほどとなり、デスサンドホエールは襲い掛かるブルーマーカー達の艦隊を尾の一振りで粉砕、爆散させる。


 このブルーマーカー達は決して弱い訳では無く、戦闘に戦闘を重ねたベテランスロータートルーパー達が多数集まり出来た大規模な艦隊で有り、本来ならばデスサンドホエールに負ける事は万に一つもない筈であった。


「うーん、こりゃダメかもしんないね」

[現在のデスサンドホエールとブルーマーカー艦隊の戦力比は5対2程になりましたね。まさかここに来てデスサンドホエールが陸地対応を開始するとは思いませんでした]


ジジジ〘ラトナ、このままじゃブルーマーカー艦隊が全滅しちまうぜー〙

ザザザー〘それはそれで構わないんじゃないの?ブルーマーカーってだけで味方でもないしさ、下手に助けてブルーマーカーに弾が当たったら、私達が今度はレッドマーカーよ?私はゴメンだわ〙


ジジジ〘ラトナお姉様、私も全滅するまで見物してる方が良いと思います。助けても利益が有りませんし、戦力を見誤る艦隊など助けるだけ無駄です〙

ザザザー〘そうなんだよねー。未だにスローターギアをメインで使ってるって事は、新兵器開発を疎かにしたお馬鹿さんって事だしね〙


[ラトナ、そうでもないようですよ。アレを見て下さい]

「ふ~ん、そっちを開発してたかー」


 デスサンドホエールに粉々に砕かれたスローターギアやスロータートルーパー達の身体が時間を巻き戻すように再生していく。


 まさにゾンビのようにデスサンドホエールやデスサンドシャークに喰らい尽くスローターギア、粉々にされても何度でも蘇って来る様子は不気味の一言である。


 しかし、デスサンドホエールはその更に上をいく、粉々にしても復活するならば完全に消滅させれば良いと見たのかデスサンドシャーク改に捕食させてゾンビスローターギアを食い尽くす。


 ナノマシンで形状を記憶させても本体を食われてしまえば復活は出来ない。


 そして無限湧きするデスサンドシャーク達は新たなる力を取り込んでナノマシンでの回復を行えるようになってしまう。


 こうなると艦隊はレーザーやプラズマシューターの一斉射を敢行するが、ナノマシンでの回復を会得してしまったデスサンドホエールやデスサンドシャーク達のミサイルやレーザー、レールキャノンの一斉射には全く太刀打ちできずに次々と艦船を落とされ捕食されていった。


ジジジ〘こりゃ決まったな〜。逃げりゃ良いのに真正面から行く方がバカだわ〙

ザザザー〘たぶんさー、この艦隊って無限の再生力だけでここまで来たんじゃない?だって弱すぎるし〙


[メタトロンより情報です。アイアンゴーレムがこちらに向かって来ています。ターゲットはおそらくデスサンドホエールかと思われます]

「ああ、デスサンドホエールが予想外に強くなりすぎちゃったのね。でもさ、アイアンゴーレムで勝てるのかな?」


 強くなりすぎたデスサンドホエールに超巨大な金属の塊のような巨人が肉薄する。


 その動きは非常に早く、ブルーマーカー艦隊が慌てて逃げる間も無く全てを超高熱のレーザーと火炎放射で焼き尽くす。

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