第7話
ホプキンスのスローターギアのテイラーから発射されたレールガンがサンドシャークの脳天を突き破る。
サンドシャークを追っていたイエローマーカー達からは殺気のようなものが漂う。
そして通信……。
ジジジ「そこのブルーマーカーの機体の持ち主に告ぐ、このサンドシャークの所有権は我々に有る。速やかに撤退するならば追いはしない」
ザザザ「おいおい、俺はサンドシャークを獲物として倒しただけだぜ?お前らレッドマーカーとして死にてぇのかい」
ジジジ「再度警告する。このサンドシャークは我々の獲物だ。退かなければ貴様の機体もろとも吹き飛ばすぞ」
パパパン!キキキン!
イエローマーカーのスローターギアから重装甲のテイラーにマシンガンが放たれると、直ぐにイエローマーカーがレッドマーカーに変化した。
ザザザ「そっか、残念だったな。お前ら撤退するならよ、こっちも穏便に済ませたかったんだがよ。そっちが撃ってくんなら仕方ねぇ、死んでくれや」
キュイーーン!ズドン!
ジジジ「貴様、撃ちやがったな!皆、囲め!」
ザザザ「はあ?先に撃ちやがったのはそっちだろー?先ずは一匹。ラトナー、お前も小遣い稼ぎするかー?」
ジジジ「はいはい、無事に正当防衛成立したし、私もサンドシャークの素材は欲しいから一枚噛むわ」
ターン!ターン!ターン!ボン!
ホプキンスの長距離戦用スローターギアのテイラーだけでも十分に過剰戦力であったが、ラトナのスキュラも加わると敵対勢力のトレーダーが使うカエルの頭にヒヨコの足と細い腕を着けた軽量スローターギア『フロッグチック』達のコックピット目掛けて極小口径の多連装レールガンが狙撃を開始する。
ホプキンスのテイラーはアンカーを擬似生物のサンドシャークに撃ち込み、ワイヤーで引きずるようにアトラスに帰還した時には敵トレーダーのフロッグチックは全機コックピットを撃ち抜かれて破壊されており、機体から赤いものが流れていた。
バギーで囮役をしていたトレーダー達も綺麗に頭部を失っているが、敵トレーダーは全てレッドマーカーとなっており、ホプキンスのマーカーカードにはレッドマーカーから得た、そこそこの額のセルが入っていた。
ラトナに至ってはそこそこの額を遥かに超えたセルとスローターギアのフロッグチックが8機、武装バギーが5台と大収穫である。
ホプキンスとラトナは後の処理をアトラスのアント達に任せてしばし休憩をとる。
水は貴重品な為、ナノマシン分解応用エアーシャワーで身体の汚れを完全に落としていった。
「今回は大収穫だったわね」
「ま、俺は1機しか倒してねぇし、カードにそこそこのセルとサンドシャークを一匹二匹手に入れただけなんだよな〜」
[ミスターホプキンス。サンドシャークからは大量の水が採取出来ましたよ。タンパク質も大量です]
「おう、そりゃー有り難いねぇ。タダ飯喰らいは性に合わないしな」
「なんだ、あんたまだ気にしてたの?雨水由来の水やサンドシャーク由来の合成タンパクも有るんだし、気にしないで良いわよ」
「ばーろー、他人に借りをつくるのは嫌なんだよ。それも借りを作った相手が問答無用の狙撃魔ラトナだからな」
「あのねー、あんたほんと撃つわよ。この数ヶ月で全てが変わったんだし仲間同士は助けあわなきゃね」
「ああ、あのハロー・デスワールドってヤツな。あの時、タクティカルアーマーに殺られたスロータートルーパーは何人居たんだろな」
「まあ、軽く1万は居たんじゃない?ランカーの『ナンバーズ』達が血路を開いて皆散り散りだしね」
[ラトナ、正確には9958名が戦死、ランカー上位が7人、下位数十人が犠牲になり、タクティカルアーマーを15機倒しました]
「9958人か、ランカーも7人から数十人殺られた位にはタクティカルアーマーが山程居たからね。こっちはエンジェルアイズがあったから砂漠地帯に逃げ切れたしね」
「ああ、俺も砂漠地帯は安全だと思ってたらアイーダとテストーラを失う羽目になったからな」
ラトナとホプキンス、リクローは運命の日の出来事を思い出した。
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