第2話

[移動要塞アトラス浮上します]


 サポートAIのリクローが砂地に埋まった移動要塞アトラスを起動する。


 ブゥゥンって感じで振動が始まり、砂の中から某国の新型揚陸艦の様な移動要塞が現れると、先ほど撃破したバンデッツ達の物資の回収を開始する。


 物資輸送用サポートメカ『アンツ』はその名の如く、人間大のアリさんメカが、まさに働きアリさんのように働き、次々と移動要塞内に物資を回収した。


 当然、見てはいけないアレコレがデロリンして真っ赤な液体を滴らせているわけで。


 オロロロロ「うっぷ、何回見てもコレだけは慣れないわ。リクローは平気みたいだけどね」

[マスター、資源は有効活用です。血の一滴まで全てが資源ですからね]

「そんなもん?今回の収穫は?」

[操縦席以外ほぼ無傷のスローターギアが1、半壊のマーモ・ルクンが12、ほぼ無傷の輸送車両が6に数々の物資ですね。武器や弾薬、食料に水もたっぷりです]

「なかなかの収穫ね。何か情報は?」

ピピピッ、ピピッ、プー、プー、プー

[解析完了、ラトナ、朗報です。付近に友軍のマーカーを確認しました]

「友軍?友軍ってブルーマーカーってだけでしょ。会う気にもならないわ」

[今回は会う価値は有るかもしれません。エンジェルアイズから見た友軍は『タクティカルアーマー個体名スコルピオ』と交戦中です。距離も近いですし、『タクティカルアーマー』を一体倒すチャンスです]

「何よ、それってリクローの移動要塞を強化したいだけじゃん。ま、ブルーマーカーも最近は見なかったし、ガチンコでいこうかな」

[マスター、エンジェルアイズが『エンジェルティアー』の使用許可を求めています]

「あー、そんなにタクティカルアーマーがデカい訳ね。オッケー、エンジェルアイズ。ヤッちゃいな」

[マスター権限でエンジェルティアーの発射許可……実行]チュドッ!


 『タクティカルアーマー』とはデスワールド内で特殊AIが動かす通常のスローターギア20機分程の極大なスローターギアの総称で有り、各種AIのアップデート情報と体内に貯め込んだ数々の物資や弾薬の宝庫でも有る。


 『エンジェルティアー』とは上空2000メートルの『エンジェルアイズ』の高さからのナノマシン集合体重金属を高速落下させる超質量兵器で有り、対象に刺さった後は対象を内側から綺麗に分解、破壊する為のナノマシンの集まりで有る。


 シュピーーー、ズドーン!エンジェルティアーがエンジェルアイズからタクティカルアーマーに向け超高速で放たれた次の瞬間、遠くの岩山の向こう側に凄まじい土埃が舞った。


「で、今どんな感じ?」

[友軍には退避指示、タクティカルアーマー・スコルピオには3割程の風穴が空いていますが、未だ健在]

「はいはい、それじゃトドメ差しに行きますか」


 移動要塞に格納されたスローターギア・スキュラは対タクティカルアーマー用のパーツに次々と換装される。


 硬い装甲を破壊する劣化ウラン弾を大量射出する大型ガトリングガンが両腕に装備され、両肩からは超硬質タングステンクラスの侵食型ナノニードルランチャーを左右に搭載し、中央には小型の多連装レールガンをチョイスした。


 そして会敵。









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