第2話
事故と言うことで、警察が現場を調べにきたが、トラックに確実にはねられたはずなのに、勇者イグアスが転生した身体である俺=球磨川竜也の身体には、特段怪我がなかったため、一通りの現場検証が終わった後は身柄も解放され、特に問題にならなかった。
トラックのフロント部分には、確かに何かがぶつかった痕跡があったが、当のぶつけられた人間の方に問題がない以上、警察としては、今後何かあったら、民事で話をするように、ということで終わりになった。
ただし、事故の原因となった女性=佐倉みなとは、自分の責任を非常に感じており、アパートまで送ってくれることになった。そのみなとと一緒にいるのは、市原葵といい、二人は知り合いのようだった。
「知り合いと言っても、この間、企業面接で初めて会ったばかりですけどね」
「キギョウメンセツ?」
まるで、呪文のような言葉を聞いた反応だが、無理もない。
「私たち、就職活動中なんです。私は高三で、葵さんは大学生ですけど」
「申し訳ない。まったく事情が飲み込めていなくて」
ただでさえ、異世界から転生してきたんだ。言葉が通じるだけでも御の字。
「無理もありません。お身体、大丈夫ですか?」
「本当にすみませんでした。私のせいです」
みなとさんは、ずっと気にしている。気にしなくもいいのに。
「気にしないでください。あなたのせいじゃありません」
そうそう。
「そういうわけにはいきません。お名前、教えてもらえますか?」
「名前?」
「ええ、あなたの」
「イグアス……勇者イグアス」
おい。
「ゆうしゃ……イグアス? ええと、ええぇ……」
「勇者が名字でイグアスが名前ですね。変な名前ですね」
葵さんが、納得した。なわけあるかい。
「さすがに違うでしょ。身分証見せてください」
勇者イグアス。それは、こいつの元の世界での名前だ。
イグアスは、現場検証の時に警察に調べられた、サイフの中にあった身分証明書を改めて確認する。マイナンバーカード。無職でも一応持つことができる身分証明書だ。
顔写真も付いてる。間違いなく、俺の顔が。
そこにあった名前は——
「球磨川竜也。なるほど、竜也さんですね」
「クマガワタツヤ? 変な名前だ」
お前に言われたくねえよ。
「でも、あなたの名前です……よね?」
不安にならなくても、それで正しいです。
「そもそも、ここはどこです?」
イグアスが、けっこう今更なことを聞いてきた。が、それを聞いて、葵さんが喜んだ。
「ふっふっふっふ、きたきたきたきた!」
「なにが!?」
「あ、ごめん。面白そうなシチュエーションが来たと思って、興奮しちゃった」
興奮しがてら、両手を挙げてガッツポーズまでしていた。
「あなた、記憶喪失でしょ!?」
「嘘!?」
「トラックに轢かれて無傷ってのもおかしいと思ったんだよね。なるほどなるほど、記憶喪失なら、仕方ない。頭の打ち所が悪かったんだねえ」
いい性格してるなあ。
「いや、記憶ならちゃんとある。僕は、勇者イグアス。フォール王国付の剣術魔法指南役だ」
真面目な性格してるなあ。イグアスが、バカ正直に前世の自己紹介をする。
「えっと、それってゲームかなんかですか?」
「イグアス……なんか、聞いたことあるような、ないような……」
「それはそうでしょう。自分で言うのもなんですが、いざとなれば致し方あるまい」
そう言うと、路上にもかかわらず、おもむろにポーズを取って、大きな声で騒ぎ始めた。
「やあやあ、遠からん者は音にも聞け! 近くば寄って眼にも見よ! 勇者イグアスと言えば、この僕! 二〇年前の魔王ビクトリアとの決戦で、五国周辺に響き渡った雷名ぞ!」
「うんうん、球磨川さんですね。私は、市原葵。こっちは、佐倉みなと。よろしくね」
あっさり流された。たぶん、そろそろ変質者と思われ始めてる。
「だから、勇者イグアスだと……」
イグアスが何とか抗弁しようとするが、それには取り合わず、みなとさんと葵さんがこそこそ話をする。
「葵さん。どうしよう。これ以上関わらない方がいいのかな」
「何言ってんの。そもそもあんたの身代わりで事故に遭って記憶が混濁してるんだから、何とかしてあげなくちゃ」
「あうぅ」
「何?」
「めんどくさい……」
みなとさんは、素直でよろしい。
「あんたが言うな。それに、こんな面白そうなこと、そうそうないからね」
「本音、そっち!? だいたい、今日の面接、どうするの?」
「一社くらい行かなくても、どうでもいいって」
「もう……」
二人は、俺の身分証明書で住所を確認し、家まで案内してくれた。一応の責任を感じて。
と、俺としては、家に帰り着く前に、どこかに飛んで行ってしまったミルクを買っておいてくれるとありがたいんだけど、大きな声で叫んでみたが、気づく人はいなかった。俺の意識は、確かにここにあるのに、俺の身体には、別人=勇者イグアスが入っている。妙な気分だった。
「いったい、これはどうなってるんだ?」
そう呟く勇者イグアスも、それはそれは、同じく妙な気分だったろう。
ものの数分で、アパートに着いた。二階建ての、おんぼろ安アパート。
「ここですね。えっと、二〇三号室。球磨川さん」
「なんというか、高い建物がたくさんあるし、部屋もたくさんあるんですね。どの家も、貴族レベルだ」
「二階建てのアパートだよ?」
「ただ、ちょっと道が固くて狭い」
ファンタジーの世界と比べたらね。
俺が住んでいるのは、世田谷の外れを越えて、東京二十三区にギリギリ入らないってところ。近所には多摩川が流れてる。奇妙なのは、区と市の境界線のあっちとこっち、というだけで、家賃が万単位で違うこと。世の中は不思議でしょうがない。
葵さんが、俺=イグアスのジャケットのポケットから鍵を見つけて取り出し、扉を開ける。
「お邪魔します」
「ここが、僕の家……?」
「そのはずですよ」
みなとさんは、男の部屋に入ることに抵抗があるのか、それとも、不審者に見えているから嫌がっているのか、それともその両方なのか、少し腰が引けている。
部屋は、よくある、三Kアパート。六畳間が二つ、四畳半が一つ、キッチンと、バス・トイレ別。
「こう言っちゃなんですけど、思ったよりも、片付いてますね……」
部屋の中はきちんと整理整頓されている。掃除機だってかけている。毎日。
「無職って言うから、もっと散らかってるかと思ってました
失礼だな。
と、部屋の奥から、ネコがでてきた。瞬間。
「ネコちゃーーーーーーーーん!」
みなとさんが、目をらんらんと輝かせて、ネコに抱きつきにいく。
しかし、ネコは機敏に避けて逃げる。みなとが威嚇するが、より威嚇を返されて、涙目になる。
「ネコ、飼ってたんですね」
「そうみたい、ですね」
「名前は!? 名前はなんて言うんですか!?」
ビクビクしていたのがどこへやら、みなとさんが一番、部屋の中を走り回っている。
「ごめん。わからない」
むしろ、家主のはずの男が、一番馴染んでいない。そりゃそうだ。
ネコの名前は、バド。でも、俺の言葉は誰にも聞こえない。それよりも——
「なんか、気が立ってるみたいです。もしかして、おなか空いてるんですかね?」
「猫用のミルクとかあります?」
「猫用の、ミルクぅ?」
ミルクは、トラックに轢かれたときに、吹っ飛びました。
「そういえば、トラックにぶつかったときに、遠くに飛んでいくコンビニ袋がありましたけど、もしかして、あれですかね」
それ!
「じゃあ、後で買ってこよう。球磨川さんのお部屋はどっちですか?」
玄関入ってすぐにある、四畳半なんだけど、その部屋は、あまり覗かないでほしい。
ってのに、葵さんが、一切の遠慮なしに、全ての部屋の扉を次々に開けてしまう。
うああー。
葵さんの動きが、はたと止まる。
「……球磨川さん、無職なのに、ご結婚されてるんですね」
「結婚?」
「部屋がきれいに片付いてるから、似合わないなと思ったんですけど、なるほど、三八歳、いい年ですもんね」
誤解だ。
「でも、一部屋だけ、めちゃくちゃ散らかってる部屋ありますけど、これ、パートナーの方、何も言わないんですか?」
いつも怒られてるけど、無視してるだけだ。
「そもそもなんの話だか、見当も付かないんだけど」
勇者イグアスには、分かるわけがないのは当たり前。
「ダメですよ! あんまり散らかってると、ネコちゃんが迷い込んだりして危険だから、部屋はちゃんと片付けておいてください」
怒られた。
「ごめんなさい」
イグアスが、勢いで謝った。
なんか、いろんな人に、ごめんなさい。
玄関のドアが開いた。
咥えタバコをした女性が入ってくる。猫用ミルクの入ったコンビニ袋を持って。
「竜也! あんた何やってんの?」
やばい。
「え? 僕? 何と言われても」
「事故に遭ったって聞いて、急いで帰ってきたのに、何、女連れ込んでんだ、こいつ」
「えっ、そんなつもりは毛頭ないですけど!」
そうだ、誤解だ。
「もしかして、竜也さんのパートナーの方ですか? お美しい」
葵さんは、お世辞がうまい。なんか、本気でそう思っていそうだけど。
「あら、ありがと。でも、パートナー? 違うよ。あたしは、こいつの母親」
球磨川花。紛れもなく、俺のお袋であり、クソババアだ。
いちおう、お客さんがいる手前か、咥えてたタバコを消した。
「おおおおかあさん!?……若い」
みなとさんが、再びキョドり始める。
「あら、ありがと。あなたは?」
「申し遅れました。私、佐倉みなとと申します。こっちは、市原葵。今日、竜也さんから、命を救っていただきました」
「どういうこと?」
お袋が、信じられないという反応で、俺の姿をしたイグアスを見つめている。まるで、我が子ではないかのように。その通りなんだが。
葵さんが、状況を説明した。そして、記憶が混濁しているようだからと、心配になって家まで送ってきてくれたと。
「なるほど」
一応、納得してくれたらしいが、疑惑の目線は、ずっとイグアスに向けられている。
怖えよ。
「時にお母様」
「花でいいよ」
「では、花さん。そのお手に持っているものは、もしや、ネコちゃん用のミルクでは……?」
みなとさんが、ネコを抱えたまま、コンビニ袋をさして、確認する。
「あ、そうそう。切れてたから、買ってきた」
息子が車に轢かれたというのに、のんびりしてるなあ。
「あたしにとってはさ、こいつなんかより、バドの方が大事だからね」
「バド?」
「あんたが抱っこしてる、この子の名前」
みなとさんが、覆いっきりバドを抱きしめる。
「バドちゃーーーーーん!」
力一杯抱きしめた結果、バドが悲鳴を上げて逃げてしまった。
「ふっふっふ、逃げてもダメだよ。こっちには、ミルクがあるんだからね。バド」
ネコに向かって脅迫してる。
「可愛い名前ですね」
「海外ビールの名前だよ」
ワイザー。
「あー」
「さて、バカ息子!」
改めて、クソババアが話を始める。
『はいっ!』
思わず、俺もイグアスも、直立不動で返事をしてしまった。
「えらく久しぶりじゃないか。言うことあるだろ?」
「……えと、その……ですね」
「何もじもじしてんだよ。いい年した無職のおっさんが気持ち悪い」
「おっさんではない」
勇者イグアス、そこの反応は早かった。
「偉そうな口、叩くんじゃない。部屋から出るときは、約束があっただろ?」
ありました。
部屋から出るときは、絶対に他人に迷惑をかけない、バドのミルクを補充する、そして、
「もう一つ。就職する。どれか一つでも達成した?」
「それは……」
それは、今日この世界に来たばかりのイグアスには、酷ってもんじゃないかい?
「それについては、私からお詫びいたします。私めの不注意により、本来ならばトラックにはねられるところを、助けていただいたのはいいのですが、その際に、竜也さんが購入していた、命よりも大事なバドちゃん用のミルクを吹っ飛ばされてしまったんです」
みなとさん、口調が変だし、肝心なところがずれてるよ。
とはいえ、つまり、他人に迷惑をかけるどころか、他人を助け、しかもバドのミルクを買いに出かけており、そもそも、約束を守っていたということになるわけだ。
「情状酌量の余地はあるってことだね」
「むしろ、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした……」
みなとさんは、こちらが申し訳ないくらいに、責任を感じていたらしい。
意識の九割は猫に持っていかれてるけど。
「いや、大丈夫。僕自身も、突然のことでいろいろ混乱してるけど、皆さんが無事ならそれでいいんです」
イグアスもイグアスで、優等生な回答をしてくれる。ただ、その、ね——
「ぼくぅ?」
「それにしても、花さん、お帰り早いんですね。まだ午前中ですよ」
「早いというか、夕べは夜勤だったからね。あたし、看護師だからさ。けっこう夜勤シフト多いんだよね」
「尊敬します」
葵さんが、まっすぐにクソババアに向き合う。尊敬しなくていいよ、こんなクソババア。
「二人は? それって、リクルートスーツだよね?」
「私とみなとは、就職活動中です。ね」
「あい」
「ネコにデレデレしてるんじゃない」
「ぶー」
とりあえず、みなとさんの頭の中には、ネコしか入る容量がないらしい。
「お二人とも、就職ってことは、お仕事を探してるんですね」
イグアスが、確認するように言う。
「働く気になった?」
「さっきから、会う人ごとに言われてます。無職だって。でも、僕は、勇者イグアス。立派な王国付の戦士です」
あー、うん。そうだね、そうなんだけどさ。
「勇者って、職業じゃなくて肩書きですよね」
「……いぐあすぅ……?」
クソババアが、さすがに切れる寸前になってる。
「はい……あれ?」
「何、寝ぼけたこと言ってんだ、この、親のすねかじりのバカ息子!」
「えええええええっ!?」
無理もない、無理もないけど、これはお前が悪い、バカイグアス!
「花さん! 許してあげてください! 竜也さんは、頭を打って、頭がおかしくなってるんです!」
葵さん! 言うに事欠いて、頭がおかしいってひどいだろ!
「僕は正常だ! ところはフォール王国。サザーランド国王に仕えし戦士にして、二〇年前のビクトリア魔導大戦の勇者!」
「黙れ! 余計混乱する!」
頑として譲らないイグアスに、だんだん、葵さんの言葉遣いも荒くなっていく。
「その誉れ高き勇者様が、なんでこんなところで、無職をやってらっしゃるんでしょうかねえ……?」
もう、完全に切れてるじゃんよ、クソババア……。
「それは、僕にもよくわかりません。ただ、全部本当なんです」
「まだ言うか!」
「事実ですから。なにか、証明できればいいのですが」
「勇者様は、魔法とか使えるんですか?」
みなとさんが、助け船(?)を出してきた。
「いいアイデアですね! 魔法、得意ですよ!」
まさかのノリノリだった。
「じゃあ、やってみせろ」
「やべえ。わくわくしてきた」
だんだん分かってきた。葵さんは、面白ければなんでもいいんだ。
「では、初級魔法からお目にかけましょう。部屋も狭いですし、簡単に。ファイヤボール!」
イグアスが、呪文を唱える。うん。火を出す。出ない。
「あれ? おかしいな」
「一つ聞いてもよいですか、勇者イグアナ様?」
「イグアスです、どうぞ」
「ファイヤボールというのは、火を付ける魔法?」
「まさしく、その通りです」
お袋が、タバコとライターを取り出して、ライターの蓋を開け、火を付ける。
シボッ。ライターのオイルの成分が、漂う。タバコを一吸いし、煙を吐く。
「ファイヤボール」
何かっこつけてんだ。タバコに火を付けただけじゃねえか。
「すごい魔法だ! って、さすがに、ライターくらいわかります」
「なんだろう、この無意義な時間」
みなとさんにそう言われるということは、よほど無駄な時間だったんだろう。
「竜也さんは記憶喪失なんです。世間の常識を忘れてるんです」
「葵ちゃん。かばってくれなくていいよ、こんなバカ息子。それより、女の子たちの前で、ごめんよ。すぐ消すね」
クソババアが、気を遣ってタバコを消す。俺には気なんか遣わずスパスパやるくせに。
冷蔵庫から、缶ビールを取り出し、ぐいと飲む。
「夜勤明けだから、ビールは勘弁して」
「かっこいい……」
「そう? でも、ビールはともかく、タバコは吸っちゃダメだよ。これは、ストレスの溜まる職場に勤めてるから、だからね」
「はい! でも、花さんがかっこいいです。憧れます」
みなとさんが、目を輝かせ始めている。やめろ。この人に憧れてはいけない。
「みなとちゃんは、可愛いねえ。うちの子になる?」
「バドちゃんと、ずっと遊べますかね?」
「もちろん」
「僕はどうすれば」
イグアスの疑問もごもっとも。
「おい、竜也」
はい! といっても、今の竜也は、俺じゃない。
「……はい」
「よしよし、ようやく自分が竜也だと自覚してくれたね」
「どうやら、そうのようですから……」
「みなとちゃんと葵ちゃんが、リクルートスーツに身を包んで、何をしているかはわかってるね?」
「職を探していると、先ほど伺いました」
ちゃんと認識している。でも、まさか——
「あんたもいい年だ。一緒に就職活動しなさい」
「えっ?」
それは! それはダメだ!
「そういえば、竜也さんは、これまでどんなお仕事をされてたんですか?」
何も。
「こいつは、ずっと無職。高校生の時から二〇年間、そこの四畳半で引きこもって過ごしてきた、筋金入りの引きこもりだよ」
「じゃあもしかして、社会人経験がないんですか?」
「バカみたいに『働いたら負け』とか言ってるわけだ」
社畜になってまでやるべきことなんてない。
「さあ、勇者イグアス様でも竜也でも何でもいい。就職するかどうか、今すぐ決めろ。そして、活動しないなら——」
「しないなら?」
ゴクリ。イグアスがつばを飲み込む。
「出て行け。もう二度とその面見せるな」
やばい。これは、本気だ。本気のクソババア。
「……花殿」
「花殿ぉ? 何、気持ち悪いこと言ってんだ?」
「では、母上どの。確認です。僕の名前は、球磨川竜也。二〇年間、その部屋からずっと出ることなく過ごしてきたんですね?」
「もちろん、簡単な家事手伝いとか、買い物には行ってもらったけどさ。文句あるの?」
やるべきことはやってんだよ! レトルトカレーは得意だぞ! パウチの封を開けるのに、ちょっとしたコツがあるんだよ。
「申し訳ありませんでした!」
まさかの、深々と頭を下げやがった。
「はぁ?」
いやほんと、はぁ? だよ。はぁ? 謝るなよ! 何も悪いことはしてない!
「これまでの無礼の数々、そして、大変にお世話になったと言うこと。ならば、それに報いなければ」
何言ってんだ、こいつ。
「どうするんですか?」
「バドは渡さない」
完全に、バドはみなとさんに捕獲されている。
「あんたは黙ってなさい」
そうだ、黙れ、勇者イグアス。
「僕の名前は、球磨川竜也。がんばって、就職します!」
黙るどころか、無責任に、就活宣言しやがった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます