第20話

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


女 Side







「……起きたか」




目を開けると、男がいた。

起き上がろうとすると、手伝ってくれる。

もうすでに窓の外は暗くなっていた。







「……飲めるか」



少しなら飲めるかも。



「……持ってくる」



うん。








男が冷蔵庫を開けて、私のご飯代わりの液体をコップに入れて持ってきた。


いつものように口移しで飲ませてもらった。








「……そろそろ固形物も食えんだろ」



少しならいけるかも?



「……夕飯は雑炊な」



うん



「………お前、」









──ピンポーン












男が何か言いかけた時、インターホンが鳴った。


男は眉間にしわを寄せ、顔を歪ませた。

渋々といったていで玄関へ向かう。


男が開ける前に扉が開く。






「よぉー」



「………」



「おっひさー」








にこやかに立つ男がいた。

男が2人になったので、こいつは男Bと呼ぶことにしよう。








男Bは男を押しのけて部屋に上がり込んできた。ドカッとソファーに腰掛けると、コーヒー持って来いと男に言う。









男Bはやや長めの茶髪で、右耳にピアスが3つ。


服は黒。

黒のズボン、黒いシャツの上に黒い長袖のパーカー。色白でもない普通の肌色。

瞳は髪と同じ、明るい茶色。




男Bは深くため息をついた。






「はぁ〜。もー参るわー。

人使い荒いんだよ」



「お疲れ様です」






男は男Bの前にコーヒーを置くと隣に座った。





「ほんと、嫌になるわー。………は?」





男Bと目があった。男Bは目を見開いてこちらを見ている。





「おい。こいつ、誰だ。

あんた、誰に許しもらったわけ?」


「……いや、その…」







男Bは鋭い瞳で男を睨みつける。

男は口ごもり、目線が泳いでいる。

そんな男を、男Bはいきなり殴りつけた。



ガッという音とともに男がソファーから落ち、仰向けに倒れこむ。

それを男Bが蹴り続ける。







「こいつの名前は?どこの女だ。どこから連れてきた?……おい。早く吐け」


「……ゴホッ……ゔっ……グッ……ア"ッ……し、知ら、なっあ”っ……」


「知らないだと?ふざけてんのか?」






男Bは男の髪を鷲掴み自分の顔の前にぐっと持ち上げた。

男は痛みで顔を歪ませている。







「このまま殴り続けてもいいんだけど?」










男が目を見開き、わずかに震えている。

それと対照的に愉快だというような笑みを男Bは浮かべている。







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