第15話






「………おいっ!」










──バタンッ











ドアが乱暴に開けられる音と、男の大声。








なんとなくふわふわした感触で体は動かない。それでも、このふわふわとした時間が幸せで、このまま楽に逝けるのではないかと思った。








男が服を着たまま湯船に入ってくる。

そのまま私の背と膝裏に腕を入れ、横抱きに抱き上げた。





焦ったように脱衣所に私を運び出すと、丁寧に体を拭いてくれる。







さっと服を着せられ、男も自身が濡れていることに気づき、自分の足を拭いて自室へ行った。




戻ってきた時には着替えていて、着替えるの早いなぁと思って見ていると、また横抱きに抱き上げられる。









男は小走りにベッドまで私を連れてくると、壊れ物を扱うようにゆっくりそこに下ろしてくれた。


そのあとパタパタと動く音がした後男が戻ってくると、その手には氷枕とミネラルウォーター、タオルを持っていた。








「……わり。ちょっと我慢な」









そう言って私の上半身を起き上がらせ、胸に抱きかかえると、その間に氷枕を枕の上に置いた。








その状態のまま、男は持っていてたミネラルウォーターを口に含むと、私に口移しする。


さっきのように溢れないようにと、ゆっくり流し込んでくれたため、口の端から漏れた量はさっきより減った。









「……一気にたくさん飲むのは良くないらしいから、ゆっくりな」










そう言って、3回ほど口移しした段階でやめた。








男は、そのあと髪を乾かしてくれた。

力が入らないせいで座っていることができないため、男が私を胸に抱いた状態で乾かしてくれる。




やりにくくはないのか、と思いながらも、ふわふわとした感覚と眠気に襲われ、ゆっくりと眠りについた。







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