【幸せにおなりなさい】
笛吹魔音
【幸せにおなりなさい】
【幸せにおなりなさい】
作:笛吹魔音+(ぴこ)
母親(年齢25歳)
父親(年齢28歳)
N
性別自由よ、母親が男性でも、父親が女性でも。
アドリブもありですよー。
(一人称、二人称変えてもおk)
______________________
母親「ねぇ、今お腹の中で赤ちゃんが蹴ったわ。」
父親「そうか!どれどれ、…おおっ!元気だな!」
N「2人は子供が成長して行く様を微笑ましく見ていた。」
母親「本当、どんな子に育つのかしら?」
父親「俺とお前の子供だ、とても優秀で顔が整っている子が産まれるぞ!」
母親「何を言ってるのよwそんな子までは産まれませんw」
父親「よし、それなら英才教育のために全力で働くとするか!」
母親「もう、なによw今まで全力じゃなかったの?w」
父親「いやぁ、あははははw」
N「母親のお腹の中で十月十日過ごしていた子供が、2人が待ち望んでいた通り産まれてきた。それぞれ2人の特徴を引き継いでいる可愛い女の子だった。2人だけではなく、お互いの祖父母まで喜んでいた。」
N「そして、1年後…。」
母親「最近体調が良くないのよね…。」
父親「そうか、子供は自分が見ておくから病院行っておいで。」
母親「ありがとう、行ってくるわ。」
間
母親「ただいま。」
父親「どうだった?疲れが溜まっているとか?」
母親「………。」
父親「一体どうしたんだ?」
母親「……ごめん。」
父親「ゆっくりでいいから答えてくれ。」
N「母親をソファーに座らせ、父親は母親の好きな紅茶を出し話が聞きやすいようにした。すると、母親は話し出した。」
母親「……あのね。私、胃癌のステージIVなんだって。それにもう他の部位にも転移してるって…。余命もあと半年だって。」
父親「なんだって…。まだ子供が産まれてこれから幸せになれると思っていたのに、運命は残酷だ。延命治療するのか?…苦しいのはわかるがすると言ってくれ。」
母親「ごめんなさい。私にお金をかけるなら、娘のために使ってあげて欲しいの。これが私の最期の願いです。」
父親「……そうか、わかった。お前がそう望むならそうしよう。」
母親「あと、どれだけの間この子の顔が見られるのかしら?」
父親「何年だって見ていけるだろう。悪いことは考えるな。(半分泣きで)」
母親「ふふふっ、そうね。悪い考えは悪い事を引き起こすって言いますものね。」
父親「そうだ。明るく行こう。」
間
N「そして2ヶ月後、思った以上に早くその時はやってきた。」
父親「はぁ…はぁ…おいっ!大丈夫か!?」
母親「あ…あなた…。仕事は…?」
父親「会社に電話がかかってきて、急いで駆けつけてきたんだ!」
母親「そんな…私は…まだ大丈夫ですよ…。」
父親「そんなたくさんの管に繋がれていながら大丈夫なわけないだろう!」
母親「ふふふっ。…あなたは本当に…心配症なんですから…。」
N「その瞬間、心電図の反応が乱れた。…もちろん悪い方に。」
父親「おいっ!まだ逝くなよ!まだ自分は何も恩返しすら出来ていないんだ!」
母親「…大丈夫ですよ。貴方と今まで生きてきたそれだけでも恩返しになってますよ…。」
父親「お願いだ、神とやらが本当に存在するなら連れていかないでくれ!」
母親「娘に伝えて…幸せに…おなりなさい…と。」
N「母親が呟いた瞬間、心電図が高音で鳴り響いた。父親がその場で崩れ落ち大声で泣き叫び始めた。」
父親「…っ、うぅ…あ、あぁ、うわああああ!」
父親「っく、うぐぅ…。」
N「泣き喚き、歯を噛み締めギリギリと音が響き渡る。父親は泣きに泣き母親の葬式で、棺桶から離れず喪主を務めるはずだったのだが、父親は抜け殻状態で茫然自失な状態だったので家族が代わりを務めた。そして初七日。」
父親「お前、すまない。自分は弱い人間だった。お前が居なくなった、それだけで何も出来なくなるなんて。子供もいるのに情けないよな(嘲笑い)」
父親「自分はお前の分まで娘を育てるから、空から見守っていてくれよな…。」
間
母親「お願いしますね、あなた…。」
#3人用声劇台本
【幸せにおなりなさい】 笛吹魔音 @mao_usui
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