第5話 彼の覚悟
亜久「?!!」
ダメだ、
蹴りを入れてもその隙をついて反撃される。
ナイフを使うなんてもってのほか、全て交わされる。
亜久「、、、詰んでるかも」
?「、、、」
蹴りの後のナイフは見事だが、投げる時の防御を忘れている。
それに、思考して判断する速度が5秒程度。
それじゃあ、、、
?「死ぬぞ?お前」
亜久「ッ!?」
まずい、、急所を蹴られた、、!
急いで体勢を!!
?「遅い。」
亜久「アガッ!?」
ミャラ「そこまで。」
ミャラ「亜久で今日の組手は最後です。」
ミャラ「今日はこれで解散ですので、各自速やかに帰るように。」
亜久「、、、、」
亜久は、ただ1人呆然と地に手をつけていた。
その横を、生徒がズラズラと通り過ぎていく。
だが、ただ1人だけ、その波に逆らって、亜久の前で立っていた。
?「、、、」
亜久「な、、んで、」
亜久「どうして私は、、貴方に勝てない、」
頬を流れていくモノを、彼はじっと見つめていた。
亜久「、、ッ!!!」
痛くもない。
悲しくて泣いてる訳じゃない。
ただ、、ただ、、
亜久「強く、、なりたいの」
亜久「殺し屋として、私の家族を殺したやつを、私が殺せるぐらいになるまでッ!」
亜久「私だけが生き残った!!」
亜久「私だけが、、ッ!」
?「、、、」
彼は、亜久に向かってナイフを落とした。
亜久「、、、え、?」
?「ナイフを振り上げる時、防御体勢を忘れるな。」
?「判断を素早く正確にしろ。」
?「怒り狂っていても殺す寸前までの強さを持て。」
?「優しさを捨てろ。他を考えるな。」
?「他を考えることが出来るのは、怒り狂っていても、全てが見透かせるようになる奴だけだ。」
亜久「、、、」
あぁ。
そうだ。
怒りという感情は、人間の最大の弱点だ。
だが、強くなることは、その弱点をも凌駕する。
もっと、自覚しろ。
怒りに向き合え。
彼は、亜久の前にしゃがんだ。
?「怒りから逃げているだけじゃ、そのナイフも輝かない。」
亜久「、、、、」
怒り。
そうだ。
私は、家族を殺されたあの日から、ずっと怒っている。
でも、その怒りを考えたことなどなかった。
強く、、なれるのだろうか?
この怒りを全て理解したら、私は、強くなれるだろうか
家族を殺したやつを、殺すことが出来るだろうか
亜久「、、、教えて、」
?「、、、」
亜久「私に、殺し方を、、、教えて。」
?「、、、ああ。」
?「死ぬぐらいまで、強くしてやるよ。」
その眼だ。
その眼が、お前を動かしてくれるだろう。
これは、、化けるなぁ、、。
?「今日は帰れ。」
亜久「、、、」
亜久は立ち上がってお辞儀をし、出口に向かった。
?「、、、」
俺は、お前を見届ける義務がある。
この、一時。
俺は、お前の全ての戦術を記憶した。
あとは、お前次第だ。
その眼。
忘れるなよ。永遠と。
?「強くなれるさ。亜久は。」
亜久「ッ!!」
亜久は、少し立ち止まった。
その口は、少し、笑っていた。
ミャラ「優しいのですね。」
?「何がだ。」
ミャラ「態々アドバイスなど、、」
?「、、、、w」
?「伸びるぜ?あいつは。」
ミャラ「随分の期待のようで、」
?「ああ、w」
?「1週間で何とか鍛えないといけないからな。」
?「こっちも全力でやらせてもらおう。」
ミャラ「気づいていたのですか。」
ミャラ「C組は、上のランクに行けなければ処分される。」
ミャラ「期間付きで。」
?「ああ、残り約1週間。」
?「、、、w」
?「余裕さ」
ミャラ「、、、」
ミャラ「でしたら、、」
ミャラはいきなり銃弾を放った。
?「、、、」
それを、彼はなんなく避ける。
ミャラ「あぁ、やはり無理ですか、、」
ミャラ「、、、ww」
A組とは関わりがありませんでしたからね。
お手並み拝見と行きましょうか。
その瞬間、ミャラはいきなり彼の頭上に移動していた。
ミャラ「全力、、、見せてくださいよ!」
私は、彼の頭上に移動した
彼は、先程と同様、そのまま前を見続けたままですね
これは、勝負がつきましたかね?
?「遅い。」
ミャラ「!?」
いつの間に。
私の上に。
私よりも早い速度で移動できるのですか、、。
これは、非常に厄介。
ですが、、
ミャラ「目に追える速度でしたら、、造作もないことです。」
銃弾はあと6発。
仕留め切れるでしょうか。
いや、学園長からのお墨付き、、始末していいものか、。
いえ、今は、
ミャラ「楽しみましょうか、、」
?「、、、」
彼が蹴りを放った瞬間に、ミャラも蹴りを入れる。
それを防御し、また入れる。
ミャラ「、、、泥試合でしょうか」
ミャラは1歩手前に引いて、また、ナイフを改めて構えた。
ミャラ「では、、そろそろ、、、w」
ミャラ「全力で参ります。」
ミャラ「、、、、w」
?「教師の全力、、か、。」
俺は、そんなことを考えていた。
教師となんて、初めての戦いであるため、全てが未知数である。
だが、、w
?「全て記憶した。」
?「終わりだ。」
その瞬間、彼の姿が消えたと思うと、、、
ミャラ「え、、、、、、、?」
何が、、、起きたのでしょうか、
頬に、、、、かすり傷、、、。
今、私は完全に理解できていません。
命が取られていないのが奇跡と言うまでに、、。
ミャラ「、、、w」
ミャラは微笑んだ。
ミャラ「貴方は、、殺し屋に向いていませんね。」
?「、、、あぁ。」
?「知ってるよ。そんなこと。」
二人は、向き合った。
ミャラ「よろしくお願いします。」
ミャラ「私の大切な生徒。」
ミャラ「学園側に殺されては溜まったもんではありませんから」
?「、、、」
ミャラ「貴方になら、任せても大丈夫でしょう。」
?「俺は、」
ミャラ「、、、?」
彼は、少し下を向いた。
そして、フードに手をつけた。
?「俺は、」
凪「殺す覚悟も 死ぬ覚悟も 持ち合わせてはいない」
凪「たった一人。」
凪「たった一人だけ。」
凪「救いたい奴がいる。」
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