第16話オレの家に女がいる

オレは宮里にカルアミルクを飲ませて、シャワーを浴びた。

万が一の場合もある。いつもより、丁寧に洗った。何をやってんだか。

下着をはいてジャージと肌着姿で、ドライヤーで髪の毛を乾かしてから、歯磨きまでした。

だが、息は酒臭い。

冷蔵庫を開き、麦茶を飲んだ。テーブルには、2本目の牛乳が置いてあった。

「リエちゃん、まだ飲むの?」

「えっ、ダメですか?」

「質問を質問で返してもなぁ。そんな牛乳ばっか飲んで腹を下さない?オレは牛乳飲むと直ぐに下すんだ」

リエは、額に汗を書いていたのでシャワーを浴びたいと言っていた。

リエは、こんな事を予測していたかのように、替えの下着を用意していた。

パジャマ代わりに、オレのTシャツを貸した。

下は履かなくても、充分に太ももまで隠れた。


30分後。ドライヤーで髪の毛を乾かしたリエは、戻ってきた。

リエの胸は目立つ。視線を感じたのか? 

「ちょっと、秋田さん。私のおっぱい見てたでしょ?」

「い、いや。オレは乱視だし見えてねぇよ」

「ほれっ」

と、事もあろうかTシャツをめくり、おっぱいを露わにした。

「……」

「どうですか?秋田さん」

「……い、良い……ゴホンッ!仕舞いなさい」

「はーい」


オレは動揺していた。生身のおっぱいを見たのは15年前の風俗以来だ。

だが、それで変な気は起こさない。リエは相当酔っている。仕方あるまい。

時計を見たのは深夜1時45分だった。

ベランダでタバコを吸っていると、リエはテーブルでイビキをかいて寝ていた。

タオルケットを掛けて、オレはソファーの上で寝た。

翌朝。

いい匂いがする。

リエは朝ごはんに、冷蔵庫の卵とベーコンを焼いていた。


「リエちゃん、おはよう」

「あ、おはようございます。秋田さん。勝手に作っちゃいました。凄いスパイスの種類ですね」

「……オレは料理が趣味なんだ。1人で作って飲む。それが、オレの生活」

「あ、そうだそうだ、夜、私変な事してませんよね?」

「はぁ〜?君は……い、いや。何もしていないよ」

「良かった〜。私、実は脱ぎ魔なんです」

「……へぇ〜、良い趣味だね」 

「出来ました。食べましょう」


グラスに麦茶を注いで、パンと焼いたベーコンと目玉焼き。

「こうして、食べると夫婦みたいですね」

「……うん」

「今日は日曜日です。昼には帰りますね。お邪魔でしょうから。このマンション賃貸ですか?」

「そうだよ!」

「……実は秋田さんと同棲したいんです」

「な、何を言ってるんだ。冗談はよしこちゃん」

「よしこちゃんがどうかしたんですか?」

「……オレは君の彼氏でも何でも無いよ」

「だからです」

「き、君がしたいのならば」

「じゃ、これ食べたら、準備しますね。ヤッタ〜!今日から同棲だ!」

「ま、待ちなさい。ど、同棲は良いが、決して外部には漏らすなよ!それと、1週間だけだぞ!いいね?」

「ハイッ」


飯を食べると、リエは着替えて自宅に戻った。

そして、夕方、リエはキャリーバッグを持って再び現れた。


「ただいま」

「お、おかえりなさい」

「……おかえりのキスは?」

「するか!バカ!」

「エヘヘへ」


「今から飲み屋行くぞ!歩いて5分の三嶋屋だ」

「良いっすね。秋田さん」


こうして、奇妙な同棲生活が始まった。

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