第11話休みの日に
オレは昨夜の紹興酒のせいか、昼過ぎまで寝ていた。
部屋を掃除して、洗濯物を干した。
そして、ためならない雑誌を読んだり、もっとためにならないテレビを見たり。
すると、LINEの通知音が鳴る。
読むと、平林だった。
「今日、喫茶店ポエムに来れない?」
オレは迷った。今から、コーヒーを飲む気持ちは無い。ビールが飲みたい。だが、向こうも緊急事態なのだろう。
それに応じた。14時に待ち合わせした。
オレはジーンズにTシャツ姿で店に向かった。
平林は喫茶店の前に立っていた。
「よっ!」
「秋田君ゴメンね。さっ、入ろっか」
「うん」
喫茶店内は涼しかった。
おしぼりで、手を拭き、顔を拭き、首すじを拭いた。
それを、平林は細目で見ていた。
「で、どうした?」
「聞いてよ!私、告白されちゃった」
「誰に?」
「男によ!」
「それは、分かっている。で、どんな男だい?」
「大学生のタツ君」
「……バカバカしい。そんなんが、オレらみたいな中年を恋愛対象にする訳はないだろ?」
「騙されてるのかな?」
「遊びだよ!」
「でも、K大学の学生よ!」
「K大学?何で、そんなお坊ちゃん学生が?」
オレは飲みたくないアイスコーヒーを飲んだ。
「私、何故か動揺してるの。コレって恋じゃない?」
「まぁ、エッチしてから言えよ」
「……し、した」
「な、何ですって!この裏切り者!オレたちゃ独身の仲間じゃねえか?どうせ、粗チン野郎だろ?」
「20cm以上。太いの」
「ウワァ〜聞きたくない、聞きたくない!で、どうすんの?」
「20歳近く離れてるから、親には会えなくて。どうしよ?私、ただ遊ばれてるのかな?」
「……その可能性も充分ある。だって、お前、ババアじゃん。どう見ても、40代のババアだよ。で、タツ君、どんなヤツ?」
「かわいい男の子よ」
「よしっ!オレが見極めてやる!今から呼べ!飲むぞ!そのタツと言うキチ◯イを説教してやる!」
平林はタツ君と連絡を取った。
17時から飲むことになった。オレは生半可な男なら殴ろうと考えていた。
17時、お食事処「みち潮」で合流した。
現れたのは身長は181cmあるという、好青年だった。
「タツ君、紹介します。同じ会社の同僚の秋田だよ」
「初めまして、秋田さん。戸川達也と申します。お声がけありがとうございます」
「君!合格!飲もう飲もう!何飲みたい?」
「び、ビールですかね」
その晩は、戸川達也とオレは浴びるほどビールを飲んだ。
平林は、にこやかに飲んでいた。
支払いは、平林がした。
「戸川達也君、うちの平林を宜しく。君が彼氏ならありがたい。君は何学部だい?」
「医学部です」
「平林、研修医時代は彼は貧乏だから、面倒見るんだぞ!」
「……はい」
オレは、2人と別れて1人で小料理屋早水へ行く。
あの平林に彼氏ができた。しかも、ちんこのでかい彼氏を。
オレは短小包茎だ!それを嘆いた。
小料理屋の女将は、にこやかに、
「私はちんこの大きさは関係と思います」
「何で?」
「だって、女って指でイクんですよ!」
「そっか」
オレは宮里をモノにする決意をした。
平林だけ、幸せになるのは癪に障る。
自然と来週の土曜日に会えるかLINEを送って、お茶割りを飲んでいた。
15分後、返信があった。
「良いですよ」
と。オレはニヤリとした。
女将は、気持ち悪いと言った。オレの顔が。
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