第6話パチンコデート

翌日、9時にオレは宮里絵里と駅前のパチンコ屋「マリオン」で待ち合わせした。


タバコを吸いながら待っていると、宮里が現れた。

「おはようございます、秋田さん」

「うん、おはよう。入ろっか」


オレと彼女は、マリオンの店内に入る。愛知県はパチンコの開店時間は、9時。 


適当に、甘デジコーナーに座る。

宮里にオレは1万円札を渡して、現金サンドに入れて、玉貸のボタンを押した。

左の釘を狙う様に打たせた。


オレも隣に座った。

台は海物語。

宮里は玉が無くなると、再度玉貸ボタンを押した。

オレは自分の台に集中していると、隣から、「スーパーラッキー」と、音が聴こえた。宮里は、確変図柄のエビが揃っていた。

玉がどんどん出てくる。

皿の開閉ボタンを押して、どんどん箱に玉が落ちてくる。

ビギナーズラック。


オレは、5000円打っても、うんともすんとも。

30分後、宮里はドル箱を量産していく。

オレは、7500円目でようやく、タコが揃った。確変だ。


2人して、ドル箱を積んで行く。

宮里は14連チャンで終了した。オレは5連チャン。

換金すると、宮里は7万円、オレは2万円だった。

宮里が7万円オレに渡そうとしたが、始めの1万円だけ返してもらい、残りは全て渡した。

時間は12時。


「宮里チャン、お腹空かない?」

「はい。ちょっと」 

と、2人で街を彷徨った。

パスタ屋が目に着いた。

「グラッツェ」と、言う店だ。ここは何回も来ている。

オレはカルボナーラ、宮里は明太子パスタだった。

「いやぁ〜、ビギナーズラックってあるよねぇ〜。宮里チャン、おめでとう」

「ありがとうございます」

「でも、パチンコにハマったらダメだよ」 「もう、行きません」

「その方が良い。次打つと、必ず負けるから」  

「秋田さん。このあとどうします?」

「そうだなぁ〜。メシ食ってからは、暫く酒は飲みたく無いし、映画も面白くないし、どうしょっか?」


カランコロン

扉が開いた。

振り向くと、2人の若い女の子。

「あ、理恵ちゃん」

「わぁ、立花さん。久し振り」

「今日は、お父さんとお食事?」

「え、お父さん?」

「そちらの方は、お父さんじゃ無いの?」

「立花さん、この方は秋田さんと言って、お友達」

「あんた、珍しいわね。友達を作るなんて」

「じゃましないでよ!シッシッ!」 

「はいはい、秋田さん、この小娘を宜しくお願いします」 

オレはコクリと頷いた。居心地がとても悪かった。

「宮里チャン、やっぱりオレみたいなオッサンと遊ぶの辞めた方が良いよ。だって、オレこんな成りだし、恥ずかしくない?」

と、カルボナーラをすすりながら言った。オレはクチャラーである。


「そんな事無いですよ。楽しいし」

「……そ、そうかなぁ」


オレたちは、パスタを食べると、店を出た。まだ12時45分。

やる事が無いので、自宅マンションに宮里を招いた。

部屋は片付けてある。

「結構、秋田さんは几帳面なんですね」

「いやいや」


冷蔵庫から、麦茶を取り出し宮里に渡した。

宮里は本棚を眺めていた。

「秋田さん、読書家なんですね」

「そうでも無いよ。昔読んだ本。捨てるには勿体なくて」

2人はそうやって時間を潰した。

今夜は飲むが起きない。

夜は出前の寿司を取った。

21時、宮里はオレのマンションを出た。タクシーで帰って行った。


こんなデート楽しいハズがない。

オレは女の子の扱い方が全く分からないのだ。

LINEの通知音が。

「秋田さん、今日はとっても楽しかったです。また、お願いします」

と、あった。

全く理解できんが、楽しいと言われたら嬉しかった。

この日は、早めに寝た。


翌朝6時に目が覚めた。

今日も仕事か……。

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