睡蓮
僕は高校卒業後、すぐに小説家としてデビューした。
一作目に、星に願ったあの夜を中心に物語が展開されていく、『星夜一縷』を書き上げた。
僕が書き上げた『星夜一縷』は、見事に大ヒットし、沢山の賞を受賞した。
明日花からも、『星夜一縷』が大ヒットしたお祝いに白いアザレアをもらった。
『なんで白いアザレア?』
『綺麗でしょ?それにその花、薫くんにピッタリだと思って』
白いアザレアが僕に似合う?一体どう言うことだろうか…
疑問に思う僕を見て察したのか彼女が照れくさそうに言う。
『白いアザレアの花言葉知ってる?』
僕は当然花なんて興味がなく、花言葉なんて知るわけがなかった。
『白いアザレアの花言葉はね、貴方に愛されて幸せ。アザレア自体の花言葉はね』
—ピンポーン
彼女がアザレア自体の花言葉を言おうとしていた時、タイミングよく家のインターホンが鳴った。
『ごめん、出てくるね』
『…うん』
彼女が少し悲しそうにそう返すと、僕は玄関へ向かった。
今思えばこの頃から彼女の崩壊が始まってしまっていたのかもしれない。
僕は、一作目『星夜一縷』の映画化が決まると共に二作目『海誓山盟』を発表し、さらに小説家としての勢いをつけていた。
その勢いにのり、三作目『風樹之嘆』そして四作目『影駭響震』を発表していった。
僕は新作を出すたびに有名になっていき、四作目を出す頃には家に帰る時間はすでに日が変わってしまう事があった。
この頃の彼女は崩壊が進み、心身共にやつれていた。仕事を辞め、睡眠薬に頼らないと眠れない日々。
彼女にとって大変な時期だった。
しかし、さらに彼女は堕ちていく。
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