グレンの目的
セレフィナが剣を納めると、満足げに一息ついた。隣で見守っていたグレンとリリィに向き直り、少し首を傾げて問いかける。
「お主たち、なぜそこまで私を手助けするのだ?私が剣を振るうのを楽しんでいるだけだぞ。」
グレンが肩をすくめ、にこやかに答えた。「まぁ、俺は困ってる人を放っておけない性分でね。それに、セレフィナ…君の戦いぶりや意欲には興味があるんだ。見ていて刺激になるし、一緒にいると学べることが多そうだ。」
リリィも微笑んで頷きながら言葉を続けた。「私も同じです。セレフィナ様は、魔法も強力ですが剣も鍛えようとされている。その意気込みが素敵で…一緒に冒険すれば、私ももっと強くなれる気がします。」
セレフィナは二人の言葉に感心したように頷き、ふと何かを思いついたかのように口元に微笑を浮かべた。「なるほどな…それなら礼をせねばなるまい。望みがあるなら言ってみよ。叶えられる範囲でな。」
「それなら…」グレンが少し意を決したように言葉を続けた。「君とリリィ、それに俺で臨時のパーティーを組ませてもらえないか?一人で迷宮都市に来ていたんだが、こうして縁があったんだ。君たちと共に戦えば、もっと面白い冒険ができそうな気がする。」
「それはいい考えですね!」リリィも乗り気で、セレフィナを見つめながら頷いた。「今後の探索も、力を合わせて挑めばもっと効率が上がりますし…セレフィナ様とグレンさんの力を間近で見られるなんて、心強いです。」
セレフィナは二人の提案に少し考え込むように目を細めたが、やがて笑みを浮かべてうなずいた。「よかろう。臨時とはいえ、我ら三人で力を合わせるとしよう。」
グレンとリリィの顔に喜びが広がり、三人はその場で簡単なパーティー結成の握手を交わした。
* * *
握手を終えると、グレンが真剣な表情で二人に向き直った。
「さて、これから迷宮に挑むなら、お互いの得意分野や役割をはっきりさせておこう。迷宮では1つのミスが命取りだからな。」
セレフィナは腕を組み、少し得意げに答えた。「我は帝国からきた大魔法使い。魔法にかけては右に出る者はいないだろう。攻撃魔法はもちろん、空間移動や防御結界も扱える。」
グレンは少し驚いた表情を見せたが、笑みを浮かべながら頷いた。「さすがだな、頼もしい限りだ。それなら俺は前衛を任せてくれ。剣術と体力には自信があるし、迷宮の前線で敵を引きつけるのが得意なんだ。」
次にリリィが静かに口を開き、自分の役割を説明した。「実は、私は以前にも迷宮に任務で来たことがあるんです。回復と補助魔法が得意なので、戦闘中に負傷しても治療できますし、強化魔法も使えます。それから、罠の解除やマッピングもひと通りこなせますので、進行のサポートも任せてください。」
グレンはリリィに感心した様子で頷いた。「罠の解除やマッピングができるのは本当に助かる。君がいるおかげで進行がスムーズになるな。俺とセレフィナが前線に集中できるのはありがたいよ。」
リリィも微笑み、信頼を込めて二人に視線を向けた。「迷宮は何度来ても油断できませんが、グレンさんとセレフィナ様が一緒なら心強いです。セレフィナ様、後衛からの支援もお願いできますか?
セレフィナはにやりと笑い、応じた。「任せておけ。戦場を支配するのが我の務めよ。だが、時には前線で剣も振るってみようと思うので、その時は援護を頼むぞ。」
三人はそれぞれの役割を理解し、信頼の目を交わし合った。
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