第46話 戦いの後
目が覚めると、暗い部屋の中にいた。
どうやらふかふかのベッドに寝ているようだ。
頭がズキズキと痛む。
おまけに体の一部?内部?が気持ち悪いな。
え~っと、何があったんだっけ?
確か、地下に突入して、地下の魔物と戦って. . . . . .
あ、思い出した。
なんかあの魔物に偽って戦ってたらめっちゃ苦しくなったんだ。
何でなんだろう?
まぁ、後で考えるとして、今はあの後どうなったかだな。
というかベッドに寝かされてて、周りも薄らとカーテンがあるから、ここは医務室かな?
怪我なんてしてもすぐ治せてたから来ることは無かったからよくわからない。
誰か来てくれないかな。
窓を見た感じ、朝まで結構ありそうだけど、待たないといけなかったり?
はあ、仕方ない。
いろいろ知りたいことが多いけど、とりあえず誰か来るまでひと眠りするとしよう。
概念を使って偽ったと思ったのに未だに頭が痛むし、早く治しておきたいね。
♢ ♢ ♢
――コツ、コツ、コツ
――おはようござい. . . . . . 今日も. . . . . .
誰かの足音がする。
何なら話している声もするな。
ようやく誰か来たようだ。
いろいろと事情を説明してもらおう。
だいぶスッキリした意識を覚醒させ、目を開ける。
一番に目に飛び込んできたのは、シアのきれいな顔だった。
「ノール様っ!」
顔がいきなりアップになったと思ったら、抱き着かれた。
この様子からするに、だいぶ心配をかけてしまったようだ。
「おはよう、シア。いろいろ聞きたいんだけど、まずは心配かけてごめんね」
「おはようございます、ノール様。ご無事でよかったです」
「あれからどれぐらい寝てたの?」
「丸1日です。うぅっ、本当に無事でよかった」
あ、泣き出してしまった。
そんなに心配かけてたなんて。
安心してもらえるよう、俺はシアの頭を撫でる。
まぁ、丸1日ってことは、あの地下に行ったのが昨日の朝で、真夜中に起きたから少なくとも12時間は寝ているだろう。
前世でこんなに寝れたことなかったな。
「え~、一応、体の具合を確認したいのですが」
おっと、保健室の先生?がいるのをすっかり忘れていた。
俺とシアをみて、居心地悪そうに目をそらしている。
「あ、すみません。シア、ちょっとだけ離れててくれる?」
「はい」
「どこか痛むところはありますか?」
「う~ん、特には. . . . . .」
真夜中に起きたときは頭痛があったが、それは治っているし、特にはないな。
うん? 体の中になんか違和感があるな。
「あ、なんか体の中がちょっと変な感じがします」
「どのあたりですか?」
「どのあたりかな. . . . . . いや、なんか内部?体の奥?がちょっとだけ変な感じがするんですけど」
「物理的な違和感ではないということですか?」
「あ、そう。それです。なんか魔力の一部が変な感じですね」
「だとすると、魔力の使い過ぎで違和感があるのかもしれませんね。少し診せてください」
保健室の先生?はなにやら眼鏡を出して、それ越しに俺の体をじっくり観察する。
「えっ、何この量. . . . . . もしかして、壊れちゃった?」
眼鏡は魔力を測定するための道具だったようだ。
一度眼鏡をはずして、何かないかを確認している。
使いすぎて壊れてしまったのかな?
「すみません、シアさん。少し魔力を見てもいいですか?」
「えぇ、どうぞ」
またもや眼鏡をかけて、シアをじっと見つめた。
「多っ. . . . . . やっぱり壊れてるの?」
そしてそのまま、近くのベッドに寝ていた生徒も観察する。
いや、シアの時は確認を取ったのに、寝てる生徒はいいのか?
「こっちは普通. . . . . . ってことは、それだけ魔力を持ってるの!?」
なんとなく予想できたから、音量を偽っておいてよかった。
ここの先生なのに大声を出すなんて。
「先生、それで、俺の魔力に何か異常はありましたか?」
「あ、えっと、ごめんなさい。ちょっと驚いちゃって. . . . . .」
しっかりしてください、先生。
もう一度眼鏡越しに俺の全体を見る。
すると、俺の中心部を注視し始めた。
「これは. . . . . .」
「何かわかったんですか?」
「魔力の一部が変質しています」
? どういうことだ?
俺は概念を使っていないぞ。
「あなたの魔力のほんの一部ですが、全く別の魔力になっています」
「つまり、俺の中には2つの魔力が存在しているということですか?」
「そういうことですね。寄生されている感じでもありませんし。このような事例は聞いたことがありませんが」
まぁ、普通は生き物一体につき魔力は一つだろう。
複数の魔力を持つなんて、普通はどちらかが拒否反応でも起こす。
ん? 待てよ?
複数の魔力があるってことは、魔力も何種類か偽れるんじゃないか?
そうなれば、相手の魔術にも干渉し放題だ。
これはすごい発見かも。
「体には支障がないんですよね?」
「そうですね。特に何も気になることはありません。もう普通に動けますよ」
そう言ってベッドから降りると、シアが寄り添ってくれた。
「でしたら、しばらくは様子見しかありません。もしかしたら悪化するかもしれないので、気を付けてください」
「はい、わかりました」
退院?許可を得て、医務室から出ていく。
早速複数の魔力を偽れないか試さないとな。
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