第28話 カイン・ドレ―エン

 カインが森に来た次の日。

 ザックさんとレイさんに頼んで、カインのステータスを測ってもらった。

 その結果は――


 名前:カイン・ドレ―エン

 年齢:12歳

 Lv:19

 適正

  火:2

  水:2

  風:1

  土:3

 概念:回転


 ――概念持ちだった。

 ”回転”とあるから、たまに物をひっくり返してしまうのは概念の力せいで間違いないだろう。

 つまり呪い持ちだ。

 しかし、この概念もけっこう使いやすいんじゃないか?


 「すごいじゃないか、カイン。概念を持っているし、Lvももうだいぶ冒険者に近づいてるじゃん」


 「でも僕は魔術の適性があまり高くないみたいです。結構練習したんですけど. . . . . .」


 「まぁ、無いものは仕方ないし、これからは一緒に概念を鍛えていこう」


 「はい、よろしくお願いします。ところで、ノールさんとシアさんのLvっていくつなんですか?」


 「私は56でノール様はおそらく70を超えていらっしゃいます」


 「えぇっ!そんなレベル聞いたことないよ!お二人は僕と同い年ですよね!?」


 ちなみに俺は現在Lv73だ。

 しかし俺はステータス画面でいつでも見れるけど、シアはいつの間に測ってたんだろうか。


 「紛れもなくシアも俺も12歳だよ。それにしてもシア、いつの間にステータスを測ってたの?」


 「この前みんなが測ったときに一緒に測らせてもらいました」


 え、俺知らないんだけど。


 「ノール様がみんなと遊んでるときに測ったので」


 なるほど、その時は目を離してたな。

 というか、今普通に心を読んできたな。

 いや、俺が顔に出やすいのか?


 「まぁそれはいいとして、概念をつかうためにはたくさん知っとかないといけないことがあるんだ。これからはどんどん勉強してもらうからね」


 「はいっ、頑張ります!」



 ♢ ♢ ♢



 さてと、これで概念持ちが俺を含め4人になった。

 あれ?結構いるな。

 本で読んだ感じだとめっちゃレアっぽいから、俺はとても運がいいのかもしれない。

 いや、もしかしたらそれなりにいるけど魔法陣が必要だから使えることに気づけてないのかな?

 まぁなんにせよ、みんなかなり将来有望だから頑張ってほしい。


 というわけで、俺は現在カインに世界のことを教えている。

 前世でそれなりに勉強してたから、何も知らないカインにも何とか教えていけてる。

 ちなみにシアとサラは何でもありの鬼ごっこだ。

 シアの方が圧倒的に強いので、シアには怪我しそうなとき以外は概念を使わないでやってもらっている。

 サラはこの1週間で少し知識をつけ、概念もかなり使え始めている。

 あの概念は攻撃が反射するっていうのが強すぎるんだよな。

 光を反射させればいろんなところが見えるレーダーにもなるし。


 「カインの概念は”回転”だけど、何に使えそうかわかる?」


 「人をひっくり返すぐらいしかわかりません」


 「この概念の回転を利用したら、いろんな攻撃をよけたり、強めたりできるんだ」


 「どういうことですか?」


 「例えば、相手が剣をふるってきたときに自分の周りに回転の力をつければ、剣の軌道がずれてよけることができる。竜巻みたいな感じで、飛んできたものは中心には当たらずに避けていくんだ。それに、自分の魔術を回転させればドリル. . . . . .はわからないか。え~と、こんな感じになって、中心の威力が増すんだよ」


 地面に絵をかいたり、風の魔術で実演しながら教えていく。


 「なるほど。確かにいろんなことに使えそうですね。学園に行くよりも学べてる気がします」


 「さすがに学園の方がすごいと思うけど。まぁ、とにかく概念は具体的なイメージと感覚が必要だから、実際にやってみようか」


 「はいっ」




 ――ドーン!


 「うわっ!何今の音!?」


 「多分シアの風魔術じゃないかな」


 概念を使う練習をしていると、突然大きな爆発音が鳴った。


 「魔術だけであんな音が鳴るなんて. . . . . . ? あれ?」


 「どうしたの?」


 「あ、いえ、いつもなら今みたいにびっくりしたときに何かをひっくり返しちゃうんですけど. . . . . .」


 「力を制御でき始めたんじゃない?」


 「そんなに早くできるものなんですか?」


 「いや、呪いについては最近初めて見たから、よくはわからないよ」


 実際に概念を使ってみて、制御できるようになったのかもしれない。


 「まぁ、もう一回やってみようか」


 「はい、. . . . . . はぁ、はぁ、あれ、何も起きな . . . . . . い」


 そういってバタッと倒れてしまった。


 「だ、大丈夫?!」


 急いで駆け寄ると、魔力が尽きたようで、気絶していた。

 もともと練習していたこともあって魔力量は多い方だったけど、抽象的で慣れない概念を使いまくったからすぐに尽きてしまったようだ。


 「あとはザックさんたちに預けてノワールと鍛錬しようかな」


 あ、さっき概念が発動しなかったのはこれが原因か。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る