第25話 サラ・レフレクス
私はサラ・レフレクス。
王都で半年も奴隷になって檻に入れられていたけど、ついこの前神様が助けに来てくれた。
その人の名前はノール・リューゲ様。
絶望の中にいた私を救ってくださり、居場所と生きる術を与えてくださった命の恩人。いえ、神様のようなもの。
ここにいる子供たちのまとめ役を言いつけられて、精一杯期待に応えようと思っている。
ここには保護者代わりのドラゴンであるらしいノワールがいる。
確かにめちゃくちゃ強いし、私の呪いが何の意味もないけど、どうみてもただの人に見える。
ノワール曰く、ノール様との契約でこの姿になっているらしい。
私も契約したいけど、それには私は弱すぎる。
ノール様のお役に立てるよう、今日も鍛錬をしよう。
♢ ♢ ♢
俺は今、ザックさんとレイさんが冒険者ギルドから測定器具を借りてきてくれたので、子どもたちのステータスを測っていた。
驚くことに、全員レベルが10後半以上だった。
「え、みんなめっちゃレベル高いね。エルなんて20いってるじゃん。」
さてここで、子どもたちを紹介しておこう。
まずは獣人族のエルとライア。
エルは狐の子、ライアは猫の子だ。
エルは体術も魔術の適性も高く、手先の器用なオールラウンダーって感じで5人の中では最年長の14歳であり、ライアは運動神経抜群の活発な子で最年少の10歳だ。
よくエルがライアの面倒を見ている感がある。
次にドワーフ族のライト。
5人の中で一番手先が器用かつ物覚えが早くて、料理担当だ。
いつかは武器とか防具を作れるようになりたいらしい。
ちなみに年齢は俺と同じ。
4人目はエルフ族のエレナ。
この中で最も魔術の適性が高かった。
風と土が5であったので、将来はすごい魔術師になるだろう。
ただ、運動はそこまで得意ではなく、普段は俺の貸してあげてる本を読んでいる。
ちなみに、エルフ族とドワーフ族は寿命が長く、人族の5倍はあるらしい。
年齢は話してくれなかったが、見た感じ11歳と、俺より一個下っぽい。
そして最後は人族のサラ。
この中(ノワール含め)で最もしっかりした俺より1つ年下の女の子で、まさかの概念持ちだった。
魔術の適性はそこまで高くないが、概念があるだけでとても強い武器となる。
しかし、サラの概念は少し特殊だった。
「すごいじゃないか、サラ。概念を持っているなんて」
「ありがとうございます。しかし、私には扱えそうにありません」
「えっ、どうして?」
「私は”呪い”を持っていますから」
そう、サラは常時概念が発動する、呪い持ちだったのだ。
ちなみに呪いとは、概念が勝手に発動して、有害なことを引き起こすものをいう。
と、本に書いてあった。
しかし、サラの概念は「反射」。
とても有害そうには見えない。
「サラ、その呪いはどういうものなの?」
「私が檻に入れられてすぐ、売られそうになったんです。それに抵抗したら、鞭でたたかれて。でも、痛みはあったのに腫れもせず、代わりに鞭を持っている人の腕が腫れ上がりました。それから何回かそういうことがあって、私は呪われている事が分かったから、誰も近寄らなくなったんです」
なんともひどい話だ。
そんなの防衛本能で概念が動いてもおかしくないだろう。
もしかしたらもともとは呪い持ちでは無かったのかもしれない。
「ごめん、嫌なことを思い出させて」
「いえ、気にしないでください。助けていただいたので、前のことはどうでもいいんです」
「そうか。でも、その力はとってもいいものだと思うよ。どんなに強い奴が現れてもその攻撃を跳ね返せるんでしょ?」
「. . . . . . 実は、強すぎる攻撃は跳ね返せないんです。呪いが発覚してから、いろんな魔物と戦わされたことがあって。大体は呪いで反撃されたのを理解して逃げていきましたが、一度、熊の魔物の爪を跳ね返せなかったんです」
本当にひどい奴らだ。
こんな小さい子で呪いの実験をするなんて。
おそらく、背中にでき
「そのときにできたのがこの背中の. . . . . . あれ?傷が無い?」
自分の背中を触ってみて、傷が無いことを確認する。
「あ、あれ?あんなに深い傷だったのに全く違和感がない?ねえ、ノワール。私の背中に何かある?」
「いや、ただのきれいな背中だな。我よりではないが」
そこで張り合うなよノワール。大人げないぞ。
「え?どうして?. . . . . .」
「まぁまぁ、傷が治ったんでしょ?よかったじゃん」
「. . . . . . もしかして、ノール様が?. . . . . . ありがとうございますっ!」
泣きながら俺に抱き着いてきた。
ちょっとシアの目線が怖い。
「うぅっ. . . . . . 私、ずっとこの傷を持ったままなんだと思ってました. . . . . 本当にありがとうございます. . . . . .」
う~ん、どうしよう。
こういう場合って、頭を撫でるのがいいのかな?
「よしよし。もう、サラを傷つける奴はいないから、安心してくれ」
あ、なんか隣から寒気がしてきた。
これは安心できないかもしれない。
♢ ♢ ♢
しばらくして泣き止んだサラに、概念のことを尋ねる。
「たぶん、この”反射”は攻撃だけじゃなくて、色々なものを反射できると思うんだ。例えば、光を反射させて見えなくしたり、自分の魔術を反射させて軌道を変えたりね。」
「魔術はわかりますが、光を反射させるとはどういうことですか?」
あ、そうだった。この世界は魔術があるせいで科学が発達してないんだった。
反射はいろんなことに使えそうだし、サラに一対一で教えるのもいいかもしれない。
「そうだな. . . . . . 概念を使うには、今の光のようにいろんなことを知っておかないといけない。本に書いてある分だけじゃ不十分だから、俺とシアと一緒に鍛錬しようか」
「はいっ!ぜひお願いしますっ!」
そうして、サラの鍛錬が始まった。
――――あとがき――――
読んでくださり、ありがとうございます。
どちらも毎日投稿を頑張るつもりですので、時間があれば読んでみてください。
もし気に入っていただけたなら、ぜひレビューや応援もしていただきたいです。
めちゃくちゃやる気が出ますので。
また次回もよろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます