入学試験編
第11話 学園のお話
突然だが、この世界の教育について話そうと思う。
まあ、話すことはそんなにあるわけではなく、俺に関係することを簡単に説明するだけだが。
まず、この国には教育機関である学園が王都に存在している。
ここは12歳~15歳の子供たちが通い始める場所で、1年生から6年生まである、いわばちょっと遅い小学校みたいなものだ。
ただ、通えるのは難しい入学試験を突破したものだけで、教養のある貴族がほとんどである。
まれに平民でも裕福だったり、魔法の才がずば抜けていたりすると通えることもあるが、まあ、いない。
それでも、毎年多くの平民も受験する。
理由は単純。この学園を卒業すれば良い職に就けるからだ。
なぜこんな話をしたのかはもうお分かりだろう。
そう、今年俺たちは12歳。
学園に受験するのだ。
学園は特待生制度があるが、基本はお金がかかる。
基本的に全寮制なので、入学できればシアの寝床は確保できるし、気配を偽り続ける必要がなくなるけど、資金集めをする必要がある。
入学できることが前提で話しているが、たぶん入試は問題ない。
筆記試験は家の本全部読んでるからいけるだろうし、実技もずっと鍛えてきてるから落ちることはないだろう。
できれば特待生クラスになって資金をどうにかしたいが、それは難しそうだ。
なんせ、何千人も受ける試験で上位20位以内を取らなきゃいけない。
うん無理だね。
じゃあさっそく資金集めをしていこう。
♢ ♢ ♢
あれ(いつかの冒険者登録)から少し経ち、何度も討伐系の依頼を達成してきたので、俺たちはDランクになっていた。
いつものようにシアと狼型の魔物の討伐依頼を受注し、森に向かう。
あの騒動の後、俺たちがバンバン討伐してきているので、周りも実力を認めだしてくれていた。
ちなみに喧嘩を吹っかけてきたあの男は俺たちを見ると、嫌そうな顔をして出ていくようになった。
「学園の学費を考えると、もう少し稼いでおきたいな」
「申し訳ありません。私の分まで学費を払っていただいて」
「いやいや、シアも魔物を狩ってくれてるんだから、俺だけが稼いでるわけじゃないよ」
「しかし、ノール様がいなければ、魔物を倒すなど不可能でした」
「それは、シアの努力の賜物だよ。まあ、最悪はノワールにでも頼んで魔物を狩ることもできるけどね」
「ふふっ、ノワールが冒険者をやるのは面白そうですね」
うん、やはりシアには笑顔が一番似合う。
なんか自分のことをお荷物みたいに思うことがよくあるけど、普通にそこら辺の冒険者よりも強いからね?
俺のほうが生まれてから鍛えてるはずなのに、もう追いつかれそうだし。
シアに追いつかれないように、ノワールにもっと鍛えてもらおうかな。
そんな風に談笑しながら、依頼を達成していく。
「今日もノワールの所へ行こうか」
「そうですね。いつも寝てばっかりですけど、練習には付き合ってくれるのでありがたいです」
♢ ♢ ♢
「やあ、ノワール。来たよ」
「ん?
「その通り。いつもと同じで魔法はなしで頼むよ」
「なんでそんなに鍛えとるんだ?」
「うーん、一応、学園の特待生を狙っているからかな」
「人間の学園とやらはそれほどに強いものがおるのか?」
「いえ、多分ノール様ほど強い方はいないと思います」
シアが俺を褒めてくれるけど、シアだってこの短期間でこれほど強くなったんだし、どんなに強いやつが現れるかわからない以上、鍛錬するに越したことは無い。
「まあ、念のため、頼むよ」
「分かった。この姿のままでよいのか?」
「うん、もしかしたらノワールもその姿で外出するかもしれないし、動きには慣れておいてほしいんだよ」
「承知した」
そうして、鍛錬が始まった。
♢ ♢ ♢
ノワールとの鍛錬が終わり家に帰ると、母さんがなにやら封筒を持って俺に話しかけてきた。
「学園の申し込みなんだけど、学園の試験のときにこれを渡さなくちゃならないからここに名前を書いてくれる?」
学園の試験の申込日が迫ってきていた。
ちなみにだが、王都の学園の受験票は王都に行って直接もらうか、知り合いの貴族に頼むかでもらえる。
シアの分はもちろん、俺が王都まで直接行ってもらってきた。
王都までは概念を使って俺の体重と速度を偽り高速で飛んで行ったら、半日で往復できた。
いや~空を飛べるのは本当にありがたい。
「わかったよ。王都まではどうするの?」
「お母さんたちが送っていくわ。ちゃんと勉強頑張るのよ?」
「はーい」
そろそろ資金集めも大詰めを迎えそうだな。
――――あとがき――――
ようやく学園入学辺に入りましたが、入学試験を受けるのはもう少し先です。
多分あと5話ぐらいかかります。
いろいろと変な書き方をしていると思いますが、気長に温かい目で読んでいただけると嬉しいです。
今回も読んで下さりありがとうございました。
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