第2章 地上編
第14話 久しぶりの地上
水龍を倒した大和達3人は、食事休憩を済ませ、地上に向かっていた。
3人で協力し合い、2つのエリアを超えて、ついにダンジョン1階層にたどり着いていた。
「それにしても、やっぱりこの姿は目立つな。 低階層だと人が多いからしょうがないか。」
「大和さんは綺麗ですからね。それに、ルーシーちゃんは、こーんなに可愛いですから、注目されるのも当たり前ですよ!」
「まあ、ルーシーは可愛いからしょうがないか。 でも、カエデも見られてるようだぞ。 ほれ!」
そう言いながら、大和がカエデの後ろの方を指し示すと、何名かのビギナーらしき探索者がカエデの方を羨望の眼差しで眺めていた。
「い、一応、私は女ソロ探索者ってことで有名ですから・・・。 でも、さっき誰かが「配信の」って呟きながら、大和さん達の方を見てましたよ。 やっぱり、スキル【はいしん】の効果はダンジョンの様子も配信できる能力かもしれませんね。」
「そうだな。 でも、地上に出てその携帯電話で確認しないと分からないんだろ。 急いで確認しようじゃないか。」
「そうですね!急ぎましょう。」
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そして、しばらくしてから、ついに地上にたどり着いた。
久しぶりの地上に、3人の反応は様々であった。
「おおっ! 昔と比べると、かなり綺麗になってるじゃないか。それに、ダンジョンギルドも立派な建物になったな。」
「うーん! 太陽の光が気持ちいいです!」
と、大和とカエデは喜んでいた。
「ーーーーーーーー!?」
しかし、ルーシーだけは何故か驚いている様子だった。
「どうしたんだ?ルーシー。」
大和が声をかけると、ルーシーは首をぶんぶん振って、冷静さを取り戻そうとしている様子であった。
「うーん。 やっぱり言葉が分からないと不便だな。 よし、俺の背中に乗れ!」
そう言って、大和はルーシーをおんぶした。
「ーーーーーーーー!」
恥ずかしそうにしながらも、大和の背中におぶさった。
「ルーシーちゃん可愛いい!」
「それじゃあ、このままギルドまで行こうか。」
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3人が探索者ギルドの中に入ると、昼過ぎという事もあり他の探索者の数は、少なかった。
「では、私はユニークモンスターの報告をするので、一緒に大和さんとルーシーちゃんの事も相談しましょう。」
「分かった。よろしく頼む。」
そう言いながら、2人は受付嬢のいるカウンターに歩を進めた。
「カエデさん、お疲れ様です。 後ろのお二人は・・・。」
カウンターに近づくと、受付嬢さんから先に声を掛けてくれたが、俺とルーシーの方を見ると、固まってしまった。
「お久しぶりです、由香里さん。 ちょうどよかったです。 後ろの2人については、あとで話しますから、先にユニークモンスターに関する報告をさせてください!」
「!? また、ユニークモンスターですか? 実は、ダンジョン内が揺れる現象が報告されて以降、何件かユニークモンスターに関する報告が上がっていたんです!」
驚いたように、受付嬢の由香里さんが説明してくれた。
「そうだったんですね。 それと、後ろにいるこちらの背の高い女性もユニークモンスターと戦ったんです。 ちなみに、地底人です。」
カエデがそう伝えると、受付嬢さんは驚いたようにして、こう言った。
「地底人ですか! 7年前に現れた方以来ですね。 それでは、ユニークモンスターの報告もかねて、そちらの方の報告もしましょう。 それと、後ろのお二人の長い耳に関してもお聞かせくださいね・・・。 では、ギルドマスターに確認を取ってきますので、少々お待ちください。」
そういって、カウンターの奥の方に走っていった。
「やっぱり、私たちの耳のことは聞かれるよな・・・。」
と、大和はつぶやいた。
この時、人前では一人称を「私」にした方が良いとカエデから言われていたのを思い出して、大和はよそ行きモードになっていた。
「ちょうどいいんじゃないですか。 組合長に相談して、これからのことを考えましょう。 ねー、ルーシーちゃん。」
待ち時間の間、カエデがルーシーにじゃれついていると、後ろから巨大な人影が現れた。
「「「!?」」」
驚いて、後ろを振り返ると、2mほどの筋肉モリモリの大男が立っていた。
隣のカエデからは、「もしかして、テンプレのやつー!?」などと、訳の分からないことをつぶやいていたが、なかなか相手から話掛けてこないので、俺の方から大男に声をかけた。
「どうしたんだい。私に何か用か?」
大和がそう伝えると、大男はスッっと携帯を差し出し、画面を俺たちに見せた。
「も、もしかして、この配信に映っているのはあなたたちですか・・・。」
と、体の大きさからは想像できないような小さな声で話掛けてきた。
「あれ? 大和さん! これ、今の私たちの様子が動画配信されてますよ! もっと近づいてみてください!」
「うーん・・・。あっ、本当だ! すまない、ちょっとそれを貸してくれ。」
大和がそう言うと、何故か大男は嬉しそうに大和に差し出した。
「なんだか、スキルの効果が解放されそうな気が・・・・。 あっ! ちょっと、ここれを操作してもいいか?」
「だ、大丈夫です。」
大男から了承を得て、スマホをいじっていると、大和が「あっ!」と声を上げた。
「どうですか? 大和さん。」
「やっぱり、【はいしん】の効果は、カエデちゃんが予想していた通りみたいだ。それと、他にも色々分かったこともあるが、とりあえず動画配信は停止しておいた。」
「なるほど。じゃあ、後でいろいろ教えてくださいね。」
「ああ、もちろんだ。 あっ、それとそこの大男君。これ、貸してくれてありがとう。 色々と助かったよ。」
そう言いながら、スマホを返そうとしたが、大男は何やら内ポケットから物を探し出した。
「お、おれ、実はあなたのファンなんです。スマホの裏にサインお願いします!」
大男は、ペンを大和に渡し、そう言った。
「お、わ、私!? ファンって、カエデのファンじゃないのか? しかし、サインといわれても・・・。普通に名前を書くだけでもいいか?」
ブンッ ブンッ ブンッ
そう伝えると、大男は嬉しそうに首を縦に振った。
カエデは、その様子を見て(これは、予想よりダンジョン配信を見ていた人が多かったのかな・・・。)と考えていた。
キュッ キュッ キュキュキュッ
「これでいいかな。」
大和が書き終わると、そこには達筆のサインが書かれていた。
「大和さん、凄く字が上手いんですね。驚きました!」
サインを見た、カエデと大男はその字に見惚れていた。
しかし、ルーシーは、あの翼獅子の絵の下手さは何だったんだ! と思いながらサインを眺めていた。
「カエデさーん! ギルドマスターに確認が取れましたので、奥の部屋にどうぞ!」
そして、3人は奥の部屋についていくのであった。
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