第15話 ギルマスとの面会


 現在、俺たちはギルドに併設されたシャワー室で体を洗っている。


 受付嬢の由香里さんから、ギルマスと面会する前に体を綺麗にしろと言われたのだ。



 「ルーシーちゃーん、こっちも洗ってあげますねー。」


 「ーーーーーーーー!」


 頭を洗われていたルーシーだが、耳を触られそうになった途端に声を上げて恥ずかしそうにしながら逃げた。


 「あー、まってー!」


 「はあ、そろそろ先に出るからな!」


 「 あ、大和さん。 きちんとトリートメントはしましたか?」


 「俺にそんなものは、必要ない!」


 「だめですよ~。私が女性の体の洗い方を教えてあげますからね~。 それと、俺じゃなくて、私って何度も言ってるじゃないですか~。」


 カエデは、目の色を変えて、大和さんの髪もキレですね~と言いながら近づいてきた。


 「カエデー! 正気に戻れー!」


 しかし、大和はなすすべもなく、カエデの思うがままとなった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 しばらくしてから、俺たちはギルマスと面会していた。


 見た目は、40代くらいの180㎝以上ありそうな、筋骨隆々の髭をたくわえた男だった。



 「しかし、ソロとはいえカエデが負けそうになる日本の物語モチーフのモンスターか。それに、そっちのダークエルフのお嬢さんは元男の地底人で、ちっこいエルフに関しては、言葉も分からないと…。そもそも、エルフって存在自体未発見だからなあ。」


 ギルマスはそう言いながら、大和達の扱いを考えていた。



 「ギルマス。それだけじゃないんです。大和さんとルーシーちゃんのスキルが…。」


 カエデちゃんが、追加で俺とルーシーのスキルについても説明する。



 「つまり、ヤマトとルーシーの嬢ちゃんは、2人とも未発見の【はいしん】というスキルを持っていて、ダンジョン内の動画配信も出来るっていう事か。それに、特殊スキルと種族スキルを2つ持っているなんて、前代未聞じゃないか。」


 ギルドマスターが話を要約しながら考えていると、カエデは畳みかけるようにこう言った。



 「そうなんです。そこで、大和さんとルーシーちゃんについては、ダンジョン内のトラップにかかって姿が変わってしまった地底人の元人間ってことにして、新スキルの発表に関しては、いい感じに処理してもらってもいいですか?」


 「いい感じにって…。まあ、こちらで考えておこう。それで、エルフの2人組に関しては、現行ギルドカードを持っていないんだったな。 こちらで用意しておくから、明日に受け取りに来てくれるか?」


 「わかった。」


 「それと、カエデには、しばらくエルフ2人の育係になって、最近の常識を教えてあげてほしい。もちろん、ギルドから報酬を出そう。」


 「わかりました。じゃあ、大和さん、ルーシーちゃん。地上でもよろしくお願いします。」


 「こちらこそ、よろしく頼む。」「ーーーーーーー。」


 その後も、しばらく話し合いをしてから、俺たちはギルマスとの話し合いを終えた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 「とりあえず、暗くなる前に今日の宿を取りましょう。」


 「あっ、そういえばお金が無いんだった。モンスターの素材もあんまりアイテムボックスに残ってないし…。」


 「そこは、助けてもらったお礼ってことで、私が出しますよ! それと、宿が取れたら、スマホも買いにいきましょう。」


 「すまないな。じゃあ、モンスターの素材の換金は明日にしようか。」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 現在、スマホを購入して宿に戻った大和は、操作方法をカエデに教えてもらっていた。



 「なるほど。ピンチにスワイプ…。そういえば、私の配信が見れるんだっけ?」


 「そうですよ。それにしても、ようやく私って言い方に慣れてきましたか!」


 カエデが嬉しそうにそう言った。



 「まあな。それよりも、動画配信の画面をもっと操作すれば、新しい能力が解放されそうな気がするんだ。」


 「わかりました。ここをこうやって…。あっ、何故か大和さんの名前でDチューブにチャンネルが開設されてますね。スキルって不思議だな。」


 「チャンネルというのはよくわからないが、早く私にも教えてくれ。」


 「待ってくださいね。あっ、ミュート設定になってますね。私たちの会話は聞かれてなかったようです。それと、コメントは受け付けない設定になってます。」


 「コメント欄ってなんだ?」


 「動画に関しての、感想を視聴者が書くところですね。試しに、コメント許可してもいいですか?」


 「そうだな。いろんな人の意見を聞けば、私の戦闘に関しても指摘してもらえるかもしれない。」


 「じゃ、了承を得たという事で。 コメント欄解放っと…。」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る