第13話 水龍 3人でのエリアボス戦



 赤鬼との戦闘後、食事をとった3人は休憩を終え、ジャングルエリア内をモンスターを倒しながら進んでいた。



 「それにしても、ルーシーちゃんの魔法の威力はすごいですね。さすがエルフ!」


 「そういえば、私もダークエルフになってから魔法関係の種族スキルが増えたいたんだよ。」


 「えっ!? スキルが増えるなんて聞いたことありませんよ!?」 


 「それと、【はいしん】っていう特殊スキルも増えていたんだ。」


 「えええええええ!? 大和さん!? スキルが増えたってことはあまり軽々しく言わない方がいいです!!」


 「そ、そうか。 しかし、【はいしん】って何だろうな。 ずっと使い続けてるんだが、今のところ左端に数字が見えるだけなんだよな。 どんどん数字は増えていってるんだけど・・・。」


 「はいしんですか・・・、はいしん・・・、背信、数字・・・、配信・・・、もしかして、動画配信じゃないですか?」


 「動画配信ってなんだ? ビデオカメラとかに関する言葉か?」


 「そういえば、何年もダンジョンに潜ってるんでしたっけ・・・。 動画配信って言うのは、テレビの生放送を個人で行うことが出来るサービスです。 もしかしたら、今の私たちの様子を生で配信するというのが【はいしん】の能力かもしれませんよ。 動画配信では、視聴者の人数を数字で見ることが出来るんです。」


 「へー。俺がダンジョンにいる間に地上ではそんなに技術が進んだのか。 ちょっとワクワクしてきたな。 まあ、使い方が分かるまではスキルは発動しっぱなしでいいか。」


 「大和さん。俺じゃなくて私です。もしも動画配信の能力だったら、前代未聞ですよ! 世界初のダンジョン配信者じゃないですか!」


 カエデは興奮しながら、そういった。



 「それに、ダンジョン配信ってだけでも前代未聞なのに、配信者が2人とも未だ発見されていないエルフなんて、どんな大事になるか分かりませんよ!」


 「そ、そうか・・・。しかし、新しいスキルの効果が戦闘向けじゃないかもしれないのか・・・。」


 「ガッカリしないでください! スキルの練度を上げれば、戦闘向けの能力も解放されるかもしれませんよ。」


 「そうだな。気長に待つとしよう。」


 「そうですね! そういえば、地上に戻ったら2人の服とスマホを買った方がいいと思うので、お礼に買わせてくださいね!」


 「ああ、その携帯電話だっけ? 本当にいいのか?」


 「はい! おふたりの連絡先も知りたいですし、お礼もできて一石二鳥ですよ!」


 「それじゃあ、お願いしようかな。 ・・・そろそろ湿地エリアだな。 もしかしたら、水龍がリスポーンしている可能性があるから、警戒して進もう。 カエデは作戦通りに頼むぞ。 ルーシーも頼むぞ!」


 「はい!」

 「ーーーーーー!」 


 そうして、3人は湿地エリアに突入した。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 「グワアアア!」


 しばらく進むと、前方に水龍が出現した。どうやら、すでにリスポーンしているようだ。



 「よし、ウォーターレーザーが来るぞ! 作戦通り、3人での連携だ!」


 「はい!」「ーーーーー!」


 そう言うと、大和とルーシーはカエデの後ろに下がった。


 「---------!」


 「拡大!」


 カエデがスキルを使用し、剣を巨大化させ水龍のウォーターレーザーをガードしている。


 その間に、ルーシーは雷の魔法を発動させ始めた。


 そして、剣とレーザーがぶつかり続けていることによって、水しぶきが起こり、水龍に死角が生まれた。



 「いまだ!」


 カエデの剣にレーザーを放ち続けている隙に、水龍の死角に入るようにして駆け出した。


 気配を感じた水龍は、大和に視線を向ける。



 「ーーーーーーーー!」


 水龍の視線が大和に向けられ、カエデとルーシーから視線をそらした瞬間に、待ってましたとばかりにルーシーの雷の矢が解き放たれた。



 「グルアアアア!」


 大和に気を取られ、雷の矢が直撃した水龍は、麻痺しながらも一瞬ルーシーに視線を向けた。



 「お前の相手はこっちだよ!」


 ズバッ!


 水龍の視線が外れた一瞬の隙をついて、大和は弱点視の能力を利用し、刀で下から水龍の首をはね飛ばした。


 そうして、3人は作戦通りに連携しながらエリアボスの討伐に成功したのであった。



 「みんな、上手くいったな!」


 「はい!連携すると、こんなに楽に倒せるんですね!」「ーーーーー!」


 カエデは、今までソロで戦ってきたが、この2人とならパーティーを組むのも悪くないかもしれないと思いながら、3人で喜びを分かち合った。



 「よし、今日は水龍の焼肉だ!」


 「やったー!って、また焼肉ですか・・・。ま、美味しいからいいか!」


 「ーーーーーー!」


 大和が手を上げてガッツポーズをとると、2人もそれに倣って、今日の食事を楽しみにするのであった。



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