教師近藤が敗北
近藤がいる中学校で、球技大会で何の競技を行うか選ぶ機会があり、クラスで話し合っていたときのことです。
やりたいものの希望が割れ、なかなか意見がまとまらず、近藤が外国人風の困っちゃうぜというジェスチャーとともに、こう口にしました。
「おいおいきみたち、いいかげん決めてくれよ」
すると生徒から次のような問いかけがありました。
「ちなみに、先生は何がいいと思いますか?」
「私かい? そうだなあ、バドミントンなんかいいんじゃないか?」
「もー、先生。混乱させないでください」
バドミントンはこれまで望む声が挙がっておらず、もし本気で受けとめると、さらに候補を増やすことになってしまうというわけでした。
「おいおい、それより、バドミントンは球技じゃないってとこを誰かツッコんでくれよ。気づかなかったかい?」
近藤は相変わらず大きい身振りを交えながら言いました。
「いや、バドミントンは球技ですよ」
さっきとは別の生徒が答えました。
「何を言ってるんだ。ボールを使ってないじゃないか」
「でも、球技に含まれるんです」
「かー、教師をからかうのはよしたまえよ。そんな嘘にだまされないぞ、私は」
「本当ですって」
そこで、体育教師に訊いてみることにしました。そして、バドミントンは球技であることが判明しました。
ボケたつもりでバドミントンと口にしたのが合っていて、しかも、球技じゃないという自分の意見のほうが正しいだろうと強気だったのに間違っていた近藤は、ほおを赤らめ、「てへっ」という感じで舌をペロッと出しました。
女のコのアイドルならば百点の振る舞いでしたけれども、ザ・中年男性の容姿の近藤です。それを見た生徒はほとんどが心の中でこうつぶやきました。
「か、可愛くない」
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