第13話:しつこいゼゼット。

「しないんだ・・・つまんないの」


正直、こんな可愛い子が目の前にいてまじでやりたいって思った・・・

誰もいない今がチャンスなのに・・・。


「今は辛抱・・・今だけね」


ゼゼットにくっついた真白は、彼女の温もりを感じていた。

真白はそのままゼゼットの上に重なって胸に顔をうずめた。


「・・・なにしてんの?」


「なにもしないよ、でも、しばらくこうしてたい」


「あったかい・・・こんなふうにしてみたかったんだ」

「ゼゼットに触れてるとめちゃ癒される・・・ 」

「それだけで幸せな気持ちになれるんだ・・・」


「うん、それは分かる気するね・・・」

「くっついてるとほんわかした気分になるからね・・・」


「そうなんだよ・・・」

「もう何にもしたくない、いつまでもず〜っとこうしてたい」


「ねえ・・・ほんとにいいの?」


「なにが? 」


「セックスだよ、いいの?私としなくて・・・いいんだよ好きにして?」


「前の彼氏のこと吹っ切れたの?」


「あと少し・・・」


「ダメだな」


「じゃ〜こんな私のこと愛しちゃって後悔しない?」


「後悔なんかしたら、それこそ後悔するよ」


「神に誓って?」


「神でも仏でも誓うって」


「ほんとに?マー君、私を裏切ったら地獄行きだからね」

「浮気しても地獄行きだから・・・」


「ゼゼットと一緒なら地獄でもどこでも行くよ」


「地獄へ行くのはマー君だけだよ」


「ダメ、ダメ、地獄だろうとどこだろうとゼゼットと一緒だから・・・」


「ええ〜〜」


「だから、そんなこと言う前に、何度も言うけどけじめつけろよ」

「それが大事なんだから」

「俺は片想いなんて悶々とした気持ちでいるのは嫌だからな・・・」


「分かった、私、優柔だったけど気持ち切り替える 」

「過去のことは、忘れるから・・・」


「気持ち的にすご〜く中途半端だけど、まあ俺たち恋人宣言棚上げ状態って

ことで、セックスも棚上げだな」


「棚上げってなに?」


「ゼゼットの心が真っ白にならない限り俺たちの恋人宣言は棚上げ」


「もう吹っ切れたってば・・・」


「そんなにすぐに吹っ切れわけないだろ?」


「なんで、そんなにそこに拘るの」

「たかだか昔の男じゃん・・・もう関係ないからね、そいつとは」


「はいはい、分かった、まあとにかく昼飯が食べなきゃいけないからね」

「コンビニ弁当なんか買うのやめてさ、外に食べに行こう」

「まずは昼飯・・・ゼゼットは何食べたい?」


「分かんない・・・マー君が決めて」


「高級料理なんて無理だから・・・安くて腹一杯食えるやつ 」

「寿司食いに行こう・・・回転寿司」


「それはいいけど、昨日お洋服買ったあと、結局イルミネーション見に

連れてってくれなかったでしょ・・・ 」


「ああ、そうだった」


「じゃ〜昼、寿司食ったあとで、行って見るか 」


ってことで真白はシュシュを連れて回転寿司を食べに出かけることにした。

今朝、起きて朝ご飯食べてパジャマを着たままだったゼゼットは土曜日に

真白に買ってもらった洋服を着た。


「おお、可愛い・・・やっぱり値段だけのことはあるな」


「中身がいいからだよって言って欲しいんだけど・・・」


「そりゃもちろん、それが一番だって」

「・・・・・けど、やっぱりスカート短すぎだと思うけど?」


「いいの・・・ちゃんとパンツ履いてるから・・・」


「いや、そういう問題かな・・・まあいいけど・・・」

「ってかパンツ履いてなかったら大問題だろ」


土曜日、洋服を買った時、一緒にブーツも買ってやっていた。

玄関の上がり端に座ってブーツを履いてるゼゼットを見て真白は言った。


「パンツ見えてるぞ」

「やっぱりスカート短かすぎだな」


「そんなとこばっか見てるんでしょ、エッチ」


「俺が見てるんじゃなく、世間の男が見るだろって話だよ」


「見たい人には見せとけばいいの」

「別に裸で歩いてる訳じゃないんだから・・・」


「俺の彼女が世間の男の視姦にさらされるのは我慢できないんだよ」


「ふ〜ん、そんなもんなの?」

「んじゃ〜明日からカーゴパンツにする」


「いや、そこまで極端にしなくていいと思うけどな・・・」

「多少の目の保養も必要だろ?」


「もう、どっちなの?」


「二者択一 なら、スカート短いほう・・・」


「マー君・・・帰って来たらセックスしようね」


そうそう実はセックス大事なんだよ。

よく考えて見ると、ゼゼットは真白の好きだと言う気持ちを受け止めた訳だから、

これで天界へ帰れるはずなんだけど、それは、あくまで言葉の上だけの約束事。


この先、お互いの関係がうまく行くかどうかも分からないし本当の意味で

結ばれた訳じゃないから、まだおいそれとは天界には帰れないのだ。


問題はふたりがセックスして肉体的に結ばれないとゼゼットは笑うことも魂を

取り戻すこともできないのだよ。

だからセックス大事なんだな、でもそのことに真白が気づくはずはなかった。


で、真白は少ししつこいゼゼットに閉口しながら彼女を連れて家を出た。

で、出かける時、玄関の鍵をかけるのを忘れてしまった。


つづく。



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