第12話：もっと君に近ずきたい。
「だって、二股はかけられないもん」
「その子とゼゼットとふたり同時には好きになれないし・・・」
「俺は真剣にゼゼットのことを思ってるっていうか、考えてるから・・・ 」
「もし他に彼女がいて俺がそんな中途ハンパな気持ちでいたらきっとその子
だって傷つけちゃうだろ？」
「だから二股なんてかけられないよ・・・そんなことしたら俺、最低男じゃん」
「でもさ、君に対する思いは俺の一方通行かと思ってた・・・もしゼゼット
が俺のことをなんとも思ってなかったら、これって俺の片思いで終わっちゃう
話だろ？・・・そんなの切なすぎるじゃん」
「だから今、俺のこと好きだって言ってくれて嬉しいんだ・・・」
「真面目なんだね・・・マー君は・・・」
「けど、私は天使なんだよ？・・・おまけに今は堕天使・・・もう少しで
悪魔になっちゃうかもしれなかったんだよ」
「人間と天使が好き同士になるなんて聞いたことないよ」
「ダメかな？」
「ダメって言うか私は、いつかは天界に帰るかもしれないでしょ・・・」
「それが分かってて告ったの？」
「そんなこと分かってるよ」
「だって、心からあふれる想い・・・気持ち止められないもん・・・」
そう言って真白は自分の胸に手を当てた。
「そか・・・分かった・・・私もマー君の気持ちめちゃ嬉しい」
「けど・・・私ね、まだ引きずってることがあるの」
「引きずってること？」
「だからね。今は素直にマー君の気持ち受け止めらない」
「だけど、もう少しだけ待って？・・・心の整理がつくまで・・・」
「何かあったのか？」
「ごめん・・・今は言えない・・・」
「誰か他に好きな人がいるんだ？」
「うん・・・まあ、いたってのが正しいかな・・・」
「って言うか・・・もう、その人とは終わったことなんだけどね」
「まだ、別れてから日が浅いから・・・」
「だから好きな人ができたからって、そんなにすぐには気持ち切り替え
られないんだよね・・・」
「マー君の気持ちがイヤって言ってる訳じゃないんだよ」
「ただ、私にはもうちょっと時間が必要かなって・・・」
「分かった・・・俺、待ってるよ」
「ごめんね、マー君」
「じゃ〜巫菜女ちゃんも留守してるし・・・セックスしよっか？」
「おい！！言ってることが矛盾してるぞ」
「ごく最近まで付き合ってた彼氏と別れたばっかだから心の整理をつけて
からって言ったじゃないかよ」
「セックスは別なのか？」
「心の問題と体の問題は別でしょ？」
「心が整理できなくてもセックスはできるよ・・・」
「逆に俺はゼゼットの心の整理がきちんとつかないうちは君を抱く気に
はならない・・・人さまの彼女抱いてるみたいで嫌だから」
「だから、今は恋人宣言だけしとく」
「恋人宣言ってなに？・・・大袈裟だね・・・けど分かった」
「セックスくらいしたっていいのに・・・減るもんじゃなし」
「しつこいぞ！！」
「けどこの先私、が吹っ切れてマー君と恋人同士になったら天界に帰る時、
辛いね・・・別れるなんてことになったらって思ったら・・・」
「ずっとここにいればいいじゃん」
「それはそうだけど・・・神様が帰って来いって言ったらどうすんの？」
「その時は、帰りませんってはっきり言えばいいじゃん」
「神様なんかにゼゼットは渡さないよ」
「強気だね・・・」
「俺、君のこと好きだって告白したから、気持ちが一歩進んだ」
「希望が持てたからね」
「あのさ、セックスはしないけど・・・したいことがあるんだけど」
「何がしたいの？」
「ゼゼットの横に寝てもいいか？」
「えっ・・・いきなりだね・・・それってやっぱり私とセックスしたい
んじゃん？」
「違うって・・・」
真白はゼゼットの横に寝て、彼女の体に手を回した。
「えっ、えっ・・・そ、そんなにくっつくの？セックスしないのに？」
「マー君・・・近いから・・」
「勘違いしないでよ・・・俺は何にもしないからね」
「何にもって、何？」
「だからセックスもエッチなこともしないからって言ってるの・・・」
「しないんだ・・・つまんないの」
正直、こんな可愛い子が目の前にいてまじでやりたいって思った・・・
誰もいない今がチャンスなのに・・・。
つづく。
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