第11話:真白の気持ち。
次の日の日曜日の朝のこと。
朝ごはんのあと、
「真白・・・お母さん実家に行ってくるから・・・」
「おばちゃんの具合が悪いんだって・・・」
「だから今夜、向こうに泊まってくるからね・・・お留守頼むわね」
「ご飯はスーパーかコンビニでお弁当でも買って食べて」
「真白、聞いてる?」
「聞いてるよ・・・おやじは?」
「昨日から出張で一週間いないって・・・」
「あのさ・・・親父もおふくろも留守って心配じゃないのか?」
「あなた、男だから大丈夫だと思うけど・・・」
最近、このへん何軒か空き巣が入って物騒だから、ちゃんと戸締り
しときなさいよ 」
「そういう意味じゃなくて・・・」
「年頃の息子と年頃の居候の女、ふたりっきりにしといて心配じゃ
ないのかって聞いたつもりなんだけど・・・ 」
「ああ・・・そのことね、真白を信じてるから・・・」
(疑ってただろ・・・)
「あなたの責任でね、じゃ〜ね、とにかくお留守番お願いね」
巫菜女ちゃんは手を振ると、そそくさと実家へ行ってしまった。
ってことで真白はゼゼットとふたりっきりになった。
ゼゼットは相変わらず暇を持て余して、テレビなんか見ていた。
お笑い番組でテレビから客の笑い声は聞こえてくるけど、ゼゼットは
笑ってない訳で、だからなにが楽しくてテレビを見てるんだろうって
真白は思った。
しばらくしてテレビも飽きたのかゼゼットは、目をこすりながら二階の
真白の部屋に引っ込んで行こうとした。
「ゼゼット・・・昼寝でもするつもり?」
ゼゼットはなにも言わずうなづいてさっさと二階へ上がってしまった。
真白はゼゼットのあとを追って二階へ上がると彼女がいる自分の
部屋のドアを叩いた。
今まで家の中ではほぼゼゼットとふたりっきりになることはなかった。
いろんな意味で、チャンスだったかもしれない。
「ゼゼット・・・お昼、何か食べたいものある?」
「なんでもいい・・・マー君がいいと思ったものでいいよ」
「あの・・・ちょっと入ってもいいかな?」
「いいけど・・・」
部屋に入るとゼゼットはベッドに寝そべっていた。
「あのさ、ここにいるのが、つまんなくてしょうがないんだろ?」
「帰りたいのか?」
そう言って真白は人差し指で上を指した。
「そうだね・・・帰れるもんならね」
「俺はさ・・・ゼゼットに帰らないで欲しいかなって思ってる・・・」
「ん、そうなの?・・・」
「ずっといて欲しい・・・」
「そりゃ、私だってマー君といると楽しいから、ここにいいたいとは
思うけど・・・」
「こんなこと言うのはめちゃ恥ずかしくて、めちゃカッコ悪いん
だけど・・・」
「俺、ゼゼットのことが好きなんだ・・・」
「・・・・・」
「それって告白?」
「だから、私に天界に帰ってほしいくないんだ・・・」
「マー君・・・恥かしい事も、かっこ悪いこともないよ」
「私もマー君のこと好きだよ・・・」
「ほんとに?」
「うん・・・」
「マー君・・・ひとつ聞いてもいい?」
「いいよ」
「マー君は同級生の中に好きな彼女とかいないの?」
「いないよ・・・もしいたら今めちゃ困るし・・・」
「なんで?・・・」
「だって、二股はかけられないもん」
つづく。
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