第3話:カオスに堕とされた天使。

図書室に落ちてきたゼゼットを連れて真白ましろは図書室を出ることにした。


「あ〜裸足か・・・ちょっと待ってな・・・」


そう言うと、真白は下駄箱から適当に上履を持ってきてやった。

上履きの中にマジックで田中と書かれてあった。


「あいつのか・・・野郎のじゃなきゃいいんだ・・・田中、ごめんな」

「明日返しときゃいいだろ」


「ほい、これ履いてみ?」


上履きはゼゼットにぴったりだった。


とりあえず真白は高校の近くの中央公園へゼゼットを連れて行った。

クリスマスの時期だから公園に小ぶりのイルミネーションが飾ってあった。

公園のベンチに腰掛けて、この不思議な出来事について改めてゼゼットに聞いて

みることにした。


「君、寒くない?下着つけてないからさジャージ一枚じゃ寒いでしょ?」


「大丈夫です・・・意外と寒さに強いほうだから、それに普段はほぼ裸だし・・・」


「あ、そうだ・・・私の名前はゼゼット・・・ゼゼット・カルです、はじめ

まして・・・えと?」


「あ、俺は神谷 真白かみや ましろ・・・よろしく」


真白は自分の学生服を脱いでゼゼットの体操着の上から着せてやった。


「あ、ありがとうございます・・・優しいんですね」


「可愛い子にはね・・・」


「え?」


「あ、下心ないから、まじで・・・」

「で?僕に分かるように説明して欲しいな、君の複雑そうな事情っての」


「分かりました・・・あのね、私もともと天使だったんです・・・」


「およよ、天使だって?・・・天使ってまじでいるんだ?」

「でもさ、天使なら頭の輪っかとか背中の羽とかあるんじゃないの?」


「ん〜輪っかはカオスに落ちるとき消えたみたい」

「羽はあるよ・・・ないように見えるけど空を飛ばないときは、体の中に同化

されてるの・・・普段はセックスしする時も寝る時も邪魔になるからね」


「え、セックスってなに?・・・今そう言ったよね」


「セックスですよ標準の言い方でしょ?」

「セックスでダメならエッチ・・・営み、交配、交尾、接合、お◯◯◯・・・」


「お〜お、並べたね〜、でも言い方じゃなくて君のクチからそう言う言葉が

出るのがちょっと・・・」


「クチ以外、他にどこから出すんですか?・・・アソコから?」


「あのね下品だよ、それに人の上げ足取るんじゃないの・・・ゼゼットって

平気でエロいね」

「長く生きてると、そう言うの普通になるんです・・・」


真白はこんな年頃の子が抵抗なくセックスって言葉をクチにするって最近の女子

は人間も天使もオープンなのかな?・・・ゼゼットはエッチの経験豊富なのかな

って思った。


「でさ今、長くって言ったけど、どのくらい?」


「だいたい5世紀頃からだから・・・1000年くらいは・・・」


「せ、千年?・・・・ゼゼット今歳いくつ?」


「ピチピチの17歳」


「うそつけ!!」


まあ、ゼゼットがエッチの経験がない訳なんかないんだ・・・ゼゼットは17歳や

18歳の女の子じゃない・・・実際は中世時代から生きてる天使なんだからね。

そんな長い期間、恋愛もセックスもしたことない天使なんていないから。


「お話の続きしていい?」


「あ、いいよ話して?」


「信じられないですよね・・・遠い昔からいるんですよ天使って・・・」

「天使は 神様に忠実に仕えるしもべ・・・で、私は真面目に天使をやってたの」

「それなのに謀反を企んだ天使たちが神様に戦いを挑んで私はその戦いの巻き添えを

喰らちゃってカオスに落とされそうになったの」


「悪いことをした訳じゃないんだよ、ただの巻き添えなの・・・」

「あることがあってね、神様と天使の戦いの中に私がいたんだ」

「それで・・・カオスに落ちる寸前で私は堕天使に変わったみたい・・・」

「カオスに落ちて行くにつれカオスの力が強くなったんだと思う」

「完全にカオスに落ちてたら私はとっくに悪魔になってたと思うからね、

女悪魔にね・・・サキュバスとか・・・サキュバスとか・・・サキュバスとか」


「今、同じキャラの名前三度言った?・・・そんなにサキュバスをアピール

しなくてもいいと思うけど・・・」


「アピールした訳じゃないですけど、そう言うどうでもいいことに拘るタイプ

なんですね、マシロさんって・・・」


つづく。

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