第2話:こういう種類の女性の定番。

「ここってカオス?・・・じゃ、ないですよね」

「他の天使たちは?・・・みんなはどこ?」


「他って?・・・ここには俺と君しかいないんだけど・・・」


「カオスじゃないんですね、ここ・・・」


「そのカオスってのが分かんないんだけど?」

「今も言ったけど、ここは図書室だよ」

「本がたくさんあるだろ?」


「私、カオスに落ちたんじゃないんですか?・・・」


「いまいちよく分かんないな〜・・・カオスって混沌って意味だろ?」

「いったいなにがあったの?」


「いろいろと・・・」


「いろいろとじゃ本当まじで分かんないよね・・・」


「そんなこと言われても、どうしてここに落ちて来たかなんて私にも分かん

ないです・・・」


やっぱりご多聞にもれず、こういう場合の女性って裸で登場したりするのが

定番・・・まあそれはどっちかって言うとゼゼットが悪魔に近かったからかな。

悪魔が丁寧に服なんか着てるイメージないし・・・。

でもって、とってつけたようにおっぱいがデカくてエロい、これも定番。


ヒロインが貧乳ってのもね・・・物足りない訳で・・・。


「だから・・・見ないで」


「いやいや・・・裸でいる君のほうに問題があるんだろ?」

「俺、邪魔?・・・図書室から出てこうか?」


「あ〜ヤだ、待って・・・行かないで」

「ここに置いてかれたら、まじ私どうしていいのか分かんない」


「行かないよ・・・俺だって君のことが気にならないわけないし」

「それにもっと事実を知りたいし・・・なんで君が図書室に落ちたか?」


「あのね、ここじゃなくどこか支障のないところで、なにがあったか

話すから・・・」


だけど、裸の女を連れて外には出られない。

ってことで真白はゼゼットのためにどこからか服を調達し来てやらなきゃ

ならなくなった。


とりあえず誰か女子の体操着とか・・・。


「そこ、動かないで少し待てって・・・着るもの持って来るから」


まじでよく分からないまま真白は女子の体操部の部室に入ろうとして止まった。


「あ、防犯カメラ」

「ダメだダメだ・・・俺、窃盗犯と変質者扱いされる」


だから真白は教室に戻って自分の体操着を持って図書室に戻った。


けど、さっきまで、そこにいたはずの女の子がいない。


「まじで?またどこかへ行っちゃったのかよ?」


「あの〜ごめんなさい・・・」


そう言って並んだ本棚の影からその子が現れた。


「あ〜どこか他の次元って言うか世界に行っちゃったのかと思った」


「誰か、人が来たから隠れてたの」


そう言いながら周りをキョロキョロ見た彼女・・・立ったままだったからモロ見え

状態。


「お〜マズい、マズい」


さすがに真白も目を逸らした。


「はい!!これ着て」


そう言って真白は持ってきた体操着をその子に渡した。

そしてしばらく待ってまた言った。


「どう?着た?」


「うん」


「へ〜・・・俺の体操着、案外可愛いじゃん・・・ああ、ブカいからか」


「さ、とりあえず図書室から出よう・・・図書室で君とふたりっきりでいる

ところを誰かに見られたら学校中大騒ぎになるから・・・」

「いつまでもここにいちゃまずいと思うんだ」


ってことで、これが堕天使ゼゼット・カルと神谷 真白との運命の出会い

だった。


つづく。



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