世界崩壊
その日も
緑が繁り、水は豊富で、エヒトワには魔力が溢れ、人族も獣も虫さえも…、ありとあらゆる
そんな美しい世界は、一つの次元の裂け目から一変した。
その裂け目はエヒトワで一番大きな大陸に現れた。
始まりはほんの5センチほどの裂け目。
その裂け目が人がひとり通れるほどまで広がるころ、エヒトワは裂け目に飲まれ始めた。
裂け目は全てを吸い込もうとしていた。木を草を、虫を野獣を。
そして、人を飲み込み、家を飲み込み、街を飲み込み始めていった。
気付けば裂け目の周りには何もなくなっていた。
大地さえ飲み込まれ、深く抉られ、地下深くを走るマグマさえも裂け目は急速に飲み込んで行く。
やがてエヒトワは星の核を刺激され、魔星としての安定を失い始めた。
エヒトワ中に溢れていた魔力が少しずつリューエデュン空間へ流れ始める。
大地は割れ、山は火を吹き、風が渦巻き、海は高波を生んで小さな島を押し流して行く。
魔星の核まで飲み込まれそうになったエヒトワは星の形を崩し始める。
魔力はリューエデュン空間に大量に流れ出し、その勢いに大地までも浮き上がり、そこに居た生き物たちを魔星の外、リューエデュン空間に飛ばしてしまった。
リューエデュン空間とは、宇宙世界で言う宇宙空間のような物だ。そんなところへ生物が投げ出されたらどうなるか想像は容易い。
このままではエヒトワは星ではなくなり、時空の裂け目に飲み込まれながらリューエデュン空間に散ってしまう。
そして裂け目はリューエデュン空間さえも飲み込み、リューエデュン世界は完全に崩壊するだろう。
この世界の創造神リューエデュン神はそんな事はさせまいと、時空の裂け目を閉じるために力を振るった。
リューエデュン空間に飛ばされて行く生命を助けたかったが、そちらに力を割いていては広がった次元の穴を閉じることが難しかった。
そんなリューエデュン神にとって救いだったのは、当時の魔王と神獣フェンリルが混乱し逃げ惑う人々を助けてくれた事だった。
神界でも古龍神が、次元の裂け目の先にあるはずの世界とその創造神を探してくれている。
だからリューエデュン神は次元の裂け目を塞ぐ事に集中した。
だが、自身の神力のほぼ全てを使わなければ、魔星エヒトワを、リューエデュン世界を守れなかった。
この世界崩壊が原因で、リューエデュン神は多くの力を失い、その後に台頭してきた女神を名乗る異世界からきた存在に信仰を奪われ、世界崩壊から5,000年経った今もなお、神力が回復しないままなのだ。
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