第3話




「それより、名前、何がいいかなぁ…」


「さぁ…何でも」


「じゃ……、"コーちゃん”、とか?」


「は、無理。やめて。うぜーってなる…」


「えー、なんで?」




相変わらずだなぁ…。


ちょっと冗談で言っただけなのに、白けた瞳のまま、ため息とかつかれて傷付くんだけど…。




「その反応、ちょっとショック…」


「は、なんで?」


「なんとなく」


「じゃあ…、"カレン”ってつけたらどう思う?」




なんと!やばいくらい恥ずかしい…。




「ダメ!無理!絶対駄目!」


「ほらな」


「いや、意味違うんだって!!」


「は?意味わかんねーし」




さっきから若干漂う不機嫌そうな雰囲気をますます増して、さらに黙ってしまうから、どうしたんだろう?と思って見ていれば、視線は交わって、「あのさ…」と。




「何?」


「………やっぱいい。なんでもない」


「いや、言いかけたじゃん!」




促せば、気まずそうに逸らされる…。



なんとなく…、その仕草には覚えがあって。


言ってよ。気になるよ!…と急かせば、言いづらそうにしながらも、すねたような口調で…。




「佐久間にはずっと"華怜"って呼ばせてたの?」


「え?いや…、最初は"大音さん”とかだったと思うよ?」


「うっぜ…そういう話してねーんだって」




中学の頃の、初彼で元彼の佐久間君。


時折、彼は閑宮の何かに触れるのか、思った以上に機嫌を損ねることがしばしばあるみたいで。




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