第2話
「名前はまだよ。仕方ないわね。そんなに言うなら、決めていいわ」
「は…、誰も何も言ってねーよ」
「二人で考えたら、いいじゃない?」
充希さんの提案にも、めんどくさ…と悪態付いて思った通りやる気ゼロ…。
「私は餌とかトイレとか、色々買うものがあるから。行ってくるわね」
そう言って出かけていく充希さんを見送って、家には二人きり……じゃなくて、ニ人プラス二匹になった。
「名前、何にしよっか?」
「何でもいいよ。大音ちゃん、決めて」
「こーちゃんの猫でしょ?」
「俺じゃない。充希。だから、何でもいいよ」
どうでもよさそうな口ぶりだけど、しっかり1匹抱いたままだから、大好きじゃん…と思う。
だけど、この直後、閑宮の手の中にいた茶色い子はぴょんと跳ねてこっちにやってきた。
「あ、逃げた」
「つれないね」
「猫だもん。こっちにやってきたよ?」
膝によじ登るように前足を掛けて、ミャアミャア鳴く。
爪が刺さって痛いけど、そんなの全く気にならないほど可愛くて仕方がない…。
そっと両手で抱きあげると、顔が近づいて、鼻先が唇に触れた。
「わ、可愛い。チュッてしちゃった」
「……は、何それ?てか、まさかのオスじゃね?」
「いや、猫だよね?」
「けど、オスじゃん…」
おいおい、どうした?
何か変なこと言い始めたんだけど??
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