サブスクリプション収入について
激戦が終わり、倒れこむスクワッドメンバー。
文字通り力を使い果たした、といった状態だ。
崩壊した黒鉄のロボットより、スピーカー音が流れる、
「やるじゃないか。いやいや、旧態依然とした白兵戦なんて時代錯誤も甚だしいとおもっていたがなかなか。魔力やスキルといった未知の力は、やはり素晴らしいな」
べらべらと語る「主任」。
相変わらずムカつくな。
「ご自慢のロボットは、この通りだぜ?余裕をかましても負け惜しみにしか聞こえないぞ?」
「ふん。来訪者・・・いや、現代からきたキサマなら分かるだろう。たかだか兵器の1台がやられた程度で我々の優位は動かない。」
・・・そうだな。
兵器というものの最大の長所は、体制さえ整えれば生産が可能だという点にある。つまりこいつが5機・10機と表れてもおかしくないわけだ。そうなると、勝ち目は薄いだろう。しかも主任、ということは、こいつ、こいつらよりさらに上がいる可能性も高い。油断はできないだろうな。
「理解できたようだな。まぁいい、今日は性能テストと、ほんのあいさつだ。また相まみえるときを楽しみにしているよ」
おそらく接続が切れたのだろう。
静寂がその場を支配する。
さて。考えないといけないことはいろいろある・・・が。
今はこの降って沸いたチャンスをどうするかだ。
「とりあえずみんな、助かったよ。そしてフォグ、ミラ、スロー。なんか巻き込んだみたいで悪いな」
「・・・かまわねぇよ。あれは俺らが歩いてきた北からの襲撃だ。同行して要がしてなかろうが、襲撃されてた。むしろ俺らだけだとなすすべもなく全滅してただろう」
「ん。同感」
「あぁ。気にしなくていいよ」
・・・助かる。そういってもらえるとこの後の提案も進めやすい。
「ルフェルもありがとう。助かったよ」
「気にするな。貴殿の護衛が私の任務だ」
「そうか。・・・みんなに提案がある」
向けられる視線。
「通常、こういった敵からのドロップ品はみんなで分配だ。・・・だがそもそもこいつは、この世界では未知の技術で作られている。そうだな?」
「ああ。」
「これをドロップとして分配すれば、金属や内部パーツなどの費用で終わりだ。それを分配するのでもいい・・・が、ここは俺に預けてもらえないか?」
「・・・預けてどうなるか次第だな。こっちも命を張ったんだ、それで終わり?は困るぜ?」
「もちろん、そんなことをするつもりはない。いいか?こいつは、異世界の技術の塊だ。つまり、国防的、もしくは技術開発的にこいつを調べたいと思うやつはごまんといる。
特定の個人や組織に売却するのではなく、貸し出して調査する権利を販売する。俺の世界ではこういうのを特許やリース、サブスクリプションというのだが、そういった形で収入を得て、分配しようと思う。・・・どうだ?」
顔を見合わせる傭兵組。
だが理解が及んだのか、にんまりとした笑みを浮かべる。
「俺は構わねぇ」
「ん。私も。」
「正直、安定した収入が定期的に入るってのも悪くないさね」
同意を得られたようだ。
一方でルフェルも
「私の取り分は私の家と、あとは国防視点から帝国に優先入札権を与えてもらえるなら飲もう。・・・国家としては備えねばなるまい」
それに、と。
これはキョウに、定期的に資金を提供し、つながりを続ける良い口実となる。
ここまでの護衛で売った恩と、今後のつながり。能力の概要や人となりもわかった。任務としては十分な収穫だろう。
「よし!決まりだ。細かい分配などの話はあとにして、運んでしまおう。まずは町に帰ろうぜ。」
こうして、俺の波乱万丈な行商と戦場への来訪を行った1日は終わりを告げた。
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