黒鉄を砕け!

「ピー・・・ダメージ8%。蓄積ダメージ72%。戦闘続行可能」


ルフェルは歯噛みする。


「(チッ、固いな・・・。しかも蓄積ダメージが100%を超えたところで止まる保証もない。決め手もないし厳しいか)」


場合によっては私が殿しんがりを務めてでも撤退させるしかない。

だが、固い癖にあの機動力。果たして足止めが続けられるか?


「ピー・・・<対人ネット弾>×<一斉射撃>」


黒鉄の胸部から動きを封じるネットが、両手から再び弾丸の嵐が迫る!!


「<氷の拳>×4!!」


氷の壁をとっさに展開するがネットに体は巻き取られ、氷の鎧もあっけなく粉砕される。ふっと影が差したので見ると・・・まずい!!


「<ブーストラッシュ>×<ヘッドスマッシュ>」


推進力により接近され、振り下ろされる鉄腕の拳。

出し惜しみしている場合じゃない!!


「<修羅のオーラ>!!」


全身に魔力を行きわたらせ鎧とし、身体能力をブーストさせる!!


「<氷の拳>×2、<炎の噴射>×4!!」


拳を氷で固め、炎による推進力を殴り抜く腕だけじゃない、両手と両足に発生させてラッシュで殴り抜く!!


「うぉぉぉぉおおお!!」


ラッシュ、ラッシュ。

攻撃は最大の防御だ!だが黒鉄の塊は、人族にあってしかるべき生体反応が、怯む、という動きがない。


「ピー・・・ダメージ12%。蓄積ダメージ84%。戦闘続行可能。<アーム>」


伸びる腕。捕まれる頭。まずい・・・!

思った瞬間に地面に叩きつけられ、反対の手の銃口が向く。


「<横切り>!!」


やられるかと思った瞬間、スローの渾身の斬撃が私を抑えていた腕を攻撃する。

ダメージが入った様子はないが、一瞬緩んだスキに離脱する。


「助かった・・・!!」


「ええ!・・・キョウとフォグから、作戦があるわ!!」


・・・・・・・・なるほど。

確かに、賭けてみる価値はありそうだ。もう魔力も残り少ない。おそらく次か、次の次の全力出力で空っぽになるだろう。そこで決めきれなければ負けだ。


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(side:主任)


「思ったより粘るわね・・・」


複数機であったとはいえ魔王軍野営地を破壊しつくし、将軍級も打ち取った兵装。

もちろん、戦闘投入は1機で、さらには先の戦闘で受けたダメージもメンテナンスしていない、量産型。

とはいえ想定では、それでもこの世界の特記戦力を倒すことはできるはずだ。


「魔法やスキルという概念はなかったにせよ・・・それは、個の力に頼った戦闘から、軍の、そして科学という力に戦闘が、戦争が移り変わった象徴。


・・・もしそれを乗り越えるなら。


「そこも含めての動作テスト。さぁ、どう出る?」


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全身に<修羅のオーラ>を纏う。

強化する、と言えば聞こえはいいがそれは魔力を垂れ流しているに等しい。短期決戦だ。


「<氷の拳>×2、<炎の噴射>×4!!」


殴りきる!!


「もう一発だぁ!!<氷の拳>×2、<炎の噴射>×4!!」


ラッシュを叩き込む!!ここだ!!


「フォグ!!ミラ!!やれ!!」


「ん!占星術<太陽の粒子>」


一瞬の、ほんの小規模な。1秒にも満たない太陽に等しき熱の粒子。だがそれは冷えた勤続に対しては十分で。


「スローの嬢ちゃん!合わせろ!!<炎の弾>!!」


剣に炎を纏う。エンチャントマジックには程遠い効果だが、練られた魔力はそれなりに強力で。


「はぁぁああ!!」


炎を纏った剣が、黒鉄の頭に振り下ろされる!!


「おまけだ、持っていけ!!<炎の噴射>×2」


ダメ押しに、炎を纏った拳を推進力のおまけつきで叩き込む!!


「ピーガガガ・・・ダメージ・・・不明。・・・戦闘停止」


崩れ落ちる黒鉄の塊。

ここに、戦闘は終結した。

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