side:フォグ

状況は絶望的と言ってもいいだろう。

一見、拮抗しているように見える。が、こちらサイドの有効打はルフェルの嬢ちゃんだけ。


敵に積まれている武器は未知のものばかりで、しかも一斉射撃とやらの範囲攻撃で後衛はほぼ全滅。

俺たちがまだ生きているのは、に過ぎない。

いや。


「(主任とやらの言動を考えるに、今回の襲撃は動作テストも兼ねてやがるな・・・クソっ。まだまだ向こうさんは余裕ってわけか)」


「・・・フォグ。悪いが私は戦力外みたいだ。強化された装甲を突破する方法はない」


ああ、そうだろうさ。

だが有効だがないのは俺も、ミラの嬢ちゃんも同じだ。あれは鎧なんてかわいらしいレベルの装甲じゃない、未知の、もしくは逸脱者や英雄級が使うような金属で作られた塊だ。むしろダメージを与えられているルフェルの嬢ちゃんが異常といえる。


「ん。魔法をはじいている気配はない。おそらく異常に頑丈なだけの金属。・・・でも私たちじゃ、出力が足りない」


「ちっ、打つ手なしか・・・」


俺たちは後方でサポートしながら、攻撃が飛んでこないのを祈るしかないってのか?

そう思った瞬間、キョウから声がかかる。


「俺の世界でも、あのレベルのロボットはほぼ実用されなかったが・・・手はあるかもしれない」


「なんだと?」


「だが、確約はできない。それでも乗るか?」


朗報だ。いまはヒントだけでもありがてぇ。


「聞かせてくれ。」


「手短に、2つだ。一つは雷撃。あの手の機械の動力は分からないが、構造的に電気に弱いはずだ。・・・出力をこの世界の魔力とやらに頼られていたらお手上げだが。」


・・・確かに動力、とやらは外見からじゃわからねぇな。最悪の場合は賭けるしかないか。


「もう一つは?」


「金属疲労。見たところルフェルは、氷で強化した拳で殴打し、。そこに高温の炎をぶち込めば、温度差によりダメージは与えられる。」


なるほど。それは試す価値があるな。


「スローの嬢ちゃん。俺とミラの嬢ちゃんの土魔導で、鎧を作る。ルフェルの嬢ちゃんの援護に近づいて、作戦を伝えてもらえるか。


・・・俺はその間、ミラの嬢ちゃんに魔力強化の補助をする」


「ん。合図が来たら火星を使う。」


「あぁ。やるよ!!」


土の魔術/占星術でスローの嬢ちゃんに鎧を作る。

頼んだぞ・・・!


「ミラの嬢ちゃんはこの魔力ポーションを飲んだら魔力を練ってくれ。俺は大した助けにならないかもだが雷の魔術を放つタイミングを見計らう。・・・キョウのにいちゃんは離れてくれ。守り切る余裕がない」


「あぁ。足手まといで悪いが頼んだぞ」


とんでもない。

その異世界知識で、攻め手が分かっただけでも十分だ・・・!

みてやがれ!!

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