黒鉄の襲撃者
帝国辺境都市カローパットまで約3km地点。
突然それは現れた。察知したルフェルが叫ぶ。
「全員!左右に飛べ!!」
飛来する謎の攻撃。
あれは・・・銃弾?しかも単発じゃない、連射式の散弾銃か??
今まで俺たちが遠ざかっていた野営地のほうから、黒い鉄でできた機械が姿をあらわす。
「なんだ・・・?ゴーレムか??」
「おいおいおい、何だよこりゃ。」
「ん。初めて見た。」
「こりゃあ・・・なんだい?」
声を上げる現地民。反応からしてみたことがないものであることは分かる。
だが、俺には分かる。これは・・・ロボットだ。
「俺の考えが間違っていなければあれはロボットと呼ばれる異世界の技術で、さっきの攻撃は連射を可能とする銃の、さらに先の技術だ。・・・聞くが、この世界の科学レベルではあんなものも存在するのか?」
「・・・イヤ、ない。少なくとも帝国の、武貴にそんな技術はない。貴殿たちは見覚えはあるか?」
傭兵組も首を振る。
「少なくとも俺は知らねぇな」
「私もだよ」
「ん。ついでに言うと冒険者酒場・魔術学院にも、あんなものはない」
そんな話をしていると、黒鉄のロボットから音声が響く。
若い、女の声だ。
「アーアーアー、テストテスト。聞こえるかい?・・・あんたらの中に来訪者は要るかい?」
「・・・俺だ。何か用か?」
「あぁ、いたのかい。私は・・・主任、とでも呼んでくれればいいさ。私も来訪者の一人さ。よろしくね」
「・・・よろしくするかどうかは、要件次第だな」
「はっ、それもそうさね」
鼻で笑たような女の声。
傲慢で冷たい、だが知性を感じる声で主任とやらは続ける。
「話はシンプルさ。周りのやつらは見逃してやるから、仲間になる気はないかい?・・・私たちの目的は、魔力という力と資源の収集と、そして帰還。単刀直入に聞くが元の世界に帰りたくはないかい?」
「なんだと?」
回りから向けられる目線。
確かに、未練がないかと問われれば全くないとは言えない。だが・・・
「断る。いろいろと気になること、聞きたいことはあるが、少なくとも俺は後ろから撃ってくるやつと仲良くやれる気はしないね。」
「そうかい。ま、それならそれで願ったりだね。こっちは当初通りの目標を達成させてもらうとするよ。・・・魔神の関係者の確保という目標をね!!」
襲い掛かる黒鉄の拳。
だがそれは阻まれる。
「エンチャントマジック<氷の拳>!!」
ルフェルの拳にまとわれる氷のグローブ。それにより殴り飛ばされる黒鉄のロボット。・・・だが、ダメージが入ったようには見えない。
「貴殿が何者かは知らないが・・・私の任務は彼の護衛でね。手出しは無用に願おうか」
「はっ、そりゃ護衛の一人や二人はついているか。望むところさ。データ取りもかねて押し通らせてもらおうかね。」
そこに、スローが言葉を挟む。
「まって。あの物体は野営地のほうから来た。・・・私が魔王軍一般兵と戦ったとき、あの兵隊は魔王軍の野営地が襲撃されたというようなことを言っていた。まさかあれは・・・」
「おや。全ての魔物・魔族を討伐したつもりが逃げていたやつもいたのかい。あの将軍、やっぱりやり手だね。人族からの挟撃を避けるため、野営地の奪還にも兵を割いていたのかい」
ま、無駄だったけど、と嗤う主任。
うん、俺、コイツが嫌いだ。それはルフェルも同様のようで・・・
「魔族の野営地を襲撃できる程度のは精鋭・・・と。フォグ、ミラ、スロー!やるよ!!キョウは、下がって。・・・でもどうにもならない時は、お願い」
「・・・あぁ」
「はっ!!やる気かい!!我々の成果、【黒鉄魔装】にアンタらの力が通じるかどうか、試してみなよ!!」
所属:???
黒鉄魔装 推定LV79
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