魔導士と魔術について
道中も危なげなく、主にルフェルが魔物を殴り飛ばしながら進む。
それをみたフォグが嘆息しながらいう。
「へっへっへ、ルフェル嬢ちゃんはさすが武貴、といったとこだなぁ。ほれぼれするぜ」
「この程度で驚かれても困るんだけどね。貴殿も魔王軍一般兵との闘い、なかなかの補助だった。何事も適材適所だ」
「へっ、そりゃありがたいね」
その会話に、青髪の剣士・スローが割り込む。
「その点魔導士・・・いや、魔術師か?ってのは便利だね。私みたいな剣士は、盾や補助装備が壊されると被弾覚悟で突っ込むしかない」
ふむ。
魔導士、か・・・。キョウは声を上げる。
「フォグのおっさん、少しいいか?魔導士だとか魔術師だとか、そのあたりについてちょっと教えてくれないか?」
「あぁ?まぁいいがよ。まず基本的に、魔法を使う総称を『魔導士』と呼ぶ。例えるなら種族・人間、みたいなもんだ。
そこから各々の体系で派生する。例えば単純に魔力を何らかの力に変換するのを『魔術師』、星の力を使って占いや召喚に近い攻撃に転じるのがミラ嬢ちゃんみたいな『占星術師』、ゴーレムや精霊などを召喚・使役して戦う「召喚術師」なんかもあるな。」
「なるほど。ちなみに俺も魔導士になれるのか?」
「なれる・なれないでいうなら可能だ。魔力の流れさえ理解できるならな。・・・だが何事も、使えることと使いこなせることは別問題だ。大成できるかどうかはもとより、戦いで使えるかどうかもな。」
そこにミラも口をはさむ。
「ん。とはいえ私の占いもそうだけど、別にすべてを戦いにつかう必要もない。私の占いによる先読みや、大きな気配探知もそう。鑑定で相手のレベルを読もうとするのもそう。何事も使い道。」
「なるほどね。・・・学ぶならどこがいい?」
「オーソドックスにいくなら、冒険者酒場・ギルドと対を対を成す魔術学院・ギルドだな。学校と魔術ギルドが合わさった組織だと考えればいい。
本当に学校形式で学ぶのか、良いとこどりして旅に出ながら学ぶのかはそれぞれだがよ。」
「なるほどなぁ・・・こりゃまた、金がかかりそうな話だ」
とはいえ、覚えておいて損はないだろう。
ミラの言う通り、戦闘には使えなくても手札を増やせる。弾とセットの銃なんて補助道具が、常に手元にあるわけじゃないだろうしな。
「・・・同行していて貴殿が戦うものでないというのは分かったが、それでも魔導士云々以前にレベルを上げるべきだと思うがな。いくら後方とはいえLV1はその・・・ない。」
ボソッというルフェル。
そしてフォグも笑いやがる。
「へっへっへ。そりゃそうだ。キョウのにぃちゃん、LVってのは戦闘に参加するだけじゃない、本人の戦闘での経験と動きが反映されるもんだ。上げるためには多少、荒療治が必要かもだぜ?」
ほかの女性陣もうんうんと無言で首をふる。
・・・ちくしょう、まだ俺は世界に来たばかりだぞ。しょうがないじゃないか。
ともあれ俺は、ひっそり鍛える必要があるなと決意した。
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