第4幕 異世界からの侵略者
雇用と帰還
俺はその後、野営地の救護テントで今までのこと、これからやろうとしている「金を稼ぐ」という短期目的を話していた。
もちろん、チートの内容といった特に広げる必要はない詳細は伏せてだが。
「はぁ。なるほど。つまり大きな動きは、帝国・・・いや。人族の上層部との話し合いしだい、か。そのあたり、どうなの?」
「そうね・・・。あくまで私の予想で、帝国のスタンスだけど。魔神とその契約者に敵対する意図は、今のところない。
いえむしろ、協力体制を築きたいと私個人はおもっているわ。無駄に敵を作る必要もないし、敵対的であれば戦うけど今はその必要もない」
「はぁ。理性的。でも同感。少なくともあの皇帝はそうするはず。」
「そうね。」
そこに不安はない。だが最重要なのは、魔神の出方だ。これによってはすべてがひっくり返る。
「その上でチェイスアロウさん。俺は金を集めてスクワッドを組もうと思う。やとわれてもらうことは、可能か?」
「はぁ。そうだね。金額によって相談はのれるけど、余はいま恩赦を受ける労働中。これが終わるまでは難しい」
まぁ、道理だな。
「でも・・・はぁ。ここまでの情報と、さっきの戦闘の補助。この2つまとめて貸し一つということで何かあれば手伝う。・・・そこから先はまた相談、でどう?」
「あぁ、十分だ。」
いきなり無敵のスクワッドなんてつくれない。
力もコネもない俺は、まずは一歩一歩だ。
「はぁ。ダークタウンの情報網があれば、よほどの僻地でない限りあなたの居場所は分かる。落ち着けば余から連絡する・・・あと。余のことはチェイスアロウ、と呼んでくれて構わない。補助程度であったとしても、同じ戦場で戦ったから。」
「あぁ。よろしく、チェイスアロウ」
「あー、キョウのにいちゃん。俺らのほうの話もさせてもらっていいか?」
声を掛けられ目を向ける。
魔術師フォグ。エルフの占星術師・ミラ。そして絡みがないが、青い髪の剣士はスロー、といったか?
「あぁ。あんたが知りたがっていたことも十分かな?」
「そうだな、客の紹介料分ぐらいは貰ったよ。それに何が何でも逃げ出さないといけないわけじゃないってわかっただけで収穫だ。
その上で、商談だ。俺ら3人で300万G払う。辺境都市カローパットまで同行させてくれねぇか?
この戦場がどうなるにせよ、さっきのダメージで俺たちはいったん、リタイアだ。治療魔法も受けてはいるが全快させるほどの魔力リソースも金もねぇ。そして野営地の外にはまだ魔王軍残党がいるかもしれねぇときた。終わりだよ。」
「ん。お願い」
「・・・そうだね。初対面で厚かましいとは思うが、頼めないかい?」
「まぁ俺はどうせ帰るつもりだし、依頼料ももらえるならかまわないが・・・」
スゲェな。護衛同行だけで300万Gだよ。
やっぱりこう考えると武貴ってのはすごいんだな。
そんなことを考えていると、ルフェルからジト目を向けられる。
「・・・いったでしょう?貴殿は贅沢だ、と」
「固い口調に戻ってるぞ。柔らかく語っていたさっきの口調でかまわねぇのに」
「はぁ。・・・卑しい女」
「なっ!!公私を切り替えているだけよ!!からかうな!!」
真っ赤になるルフェル。やばい、ちょっといじるのが癖になってきた。
ともあれ、ここに最初のスクワッドが完成した。
---------------------------------------
(スクワッド リザルト)
・ミドウ キョウ(LV1)ノージョブ
・魔拳の騎士ルフェル(LV53)グラップラー・魔術師
・フォグ(LV24)魔導士・薬師
・ミラ(LV30)占星術師・???
・スロー(LV20)剣士
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます